3Dプリンターは個人向けから業務用まで様々な環境が整ってきていますが、企業ではどの様に活用されているのでしょうか。
近年、さまざまな製造現場に導入されることで注目を集めている3Dプリンターの活用事例やメリットを徹底解説していきます。
後半におすすめの製品を3つ紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
3Dプリンターとは、あらかじめ設計された3DCADのデータをもとに、スライスされた2次元の層を1枚ずつ積層していくことで、立体モデルを造形する機械のことを指します。
最近では、オリジナル治具作成や試作の内製化、製品品質の安定や保守パーツの在庫削減などさまざまな用途で活用されるようになってきました。
今回は「オリジナル治具作成」「試作の内製化」の2点について詳しく紹介します。
3Dプリンターを用いてオリジナル治具を作成することで発生するメリットを3つ紹介していきます。
実際に製造現場で活用された事例もあわせて説明していきます。
大型商用プリンターの製造現場では、部品点数が多いことで組み立て作業が複雑化し、作業者が部品を取り間違えるなどのミスが多発していました。
3Dプリンターを活用し、部品の配膳位置や個数を区別するための配膳トレイを作成することで、初めて現場に入った作業者でも迷わず正しい部品を選ぶことができます。
さらに、組み立て順を間違えないように組み立て治具を作成することで、組み立てミスを大幅に低減させることができました。
参考元:https://www.ricoh.co.jp/3dp/case/r_industry/
自動車関連部品の製造現場では、鋼材を削ってボルトナットで検査治具を組み立てており、重いものは200kgもありました。それにより切削加工、組み立て、精度確認と製作するのに1週間もかかっていました。
3Dプリンターを導入することで、1日以内で精度確認まで完了させることが可能になったとのことです。
つまり、設計から完成までの加工時間を80%以上削減することができています。
参考元:https://www.marubeni-sys.com/3dprinter/case/automotive/yorozuengineering/
燃料消費量と排気ガス量の大幅な削減を課題に掲げる航空機部品の製造現場では、効率的な燃料ノズル設計の見直しを行いました。
すると、3Dプリンターで製造できることが判明しました。
早速3Dプリンターで製造してみると、900点もあるエンジンの部品を16点にまで削減し、従来品よりも40%軽くて60%安く仕上がった事例も出ています。
参考元:https://www.recmbus-3dprint.com/example/make.html
3Dプリンターを活用するメリットはオリジナル治具の作成のみに止まらず、試作品を内製化することでもさまざまなメリットがあります。
今回は事例とともに3つのメリットについて解説していきます。
撮影用マルチコプターの製作現場では、試作品は海外の業者に依頼しており、品質が安定しなかったため、やり直しになることも多々あったのだとか。やり直しと輸送にかかるコストは大きな負担になっていたそうです。
3Dプリンターを活用し、試作を内製化することで望み通りの試作品を製作することが可能となり、やり直しにかかるコストや輸送コストを削減することができました。
参考元:https://canon.jp/business/case/3dprinter/ideomotor
警備・防犯・安全用品などの製造現場では、外注試作での金型製作に3~4ヵ月もの納期がかかっており、改良を重ねる上で足かせとなっていました。
3Dプリンターを用いて試作を内製化することで、製作期間を1〜2日に圧縮することができ、改良サイクルの大幅短縮と品質向上を実現しました。
参考元:https://www.ricoh.co.jp/3dp/case/kinboshi/
中堅成形メーカーでは、3Dプリンターで試作の内製化をすることで、実際に部品を生産するときに使うプラスチックに近い材料で造形が可能となりました。
そうすることで、耐熱性や強度、動作状況などのさまざまな評価に活用することが可能となりました。
参考元:https://www.marubeni-sys.com/3dprinter/case/industrial/thogus/index.html
さまざまな現場で活躍する3Dプリンターについて説明してきた中で、おすすめの製品3つを紹介していきます。
1つ目におすすめする製品は「Raise3D Pro2 Plus」です。
同価格帯の製品では、最高品質の3Dプリンターとも名高い「Raise3D Pro2 Plus」には3つの大きな特徴があります。
大きな特徴の1つ目は、可動式デュアルヘッドです。
可動式デュアルヘッドを使用することで形の失敗が減少し、2色での造形が可能となりました。
さらには、サポート専用材(水溶性フィラメント、溶剤に溶けるフィラメントなど)を活用して造形することが可能です。
2つ目の特徴として、多種多様のフィラメントに対応していることです。
Raise3D純正のフィラメントだけに限らず、サードパーティーのフィラメントにも対応しています。
これまでも使用可能であった樹脂に加えて、とても機能性に優れた材料が使えるようになり、利用目的によって材料の選択が可能なため、用途によって使い分けることが可能となりました。
さらに3つ目の特徴として、大きなワークサイズに対応できるようになりました。
大型造形はもちろん、小さいものを一括造形することも可能となり、大幅な作業時間の削減にも貢献することができます。
材質ごとに検証や寸法精度、強度の確認などが必要な場合は、豊富なフィラメントに対応している「Raise3D Pro2 Plus」がおすすめです。
造形マテリアル | T-PLA、T-ABS、PETG、PTG、Polyflex、カーボン、木質、etc |
最大造形サイズ | 305W x 305D x 605H mm(※シングルヘッド造形時) |
積層ピッチ | 0.01〜0.65mm |
可動式デュアルヘッドを搭載。デュアルヘッドを使うことで、2色での造形や、サポート材として水に溶ける水溶性フィラメントでの造形ができます。… 続きを見る
2つ目のおすすめ製品は、光造形方式3Dプリンターの「Form3」です。
「Form3」には、レーザーユニット(LPU)とレジンタンクにより実現した、革新的な光造形方式であるLFS(Low Force Stereolithography)方式が取り入れられています。
LFS方式を採用したことで、より正確で安定性のある造形が可能になりました。
【関連記事】3Dプリンター知識「光造形方式3Dプリンター」について徹底解説!
造形マテリアル | Standard、Castable、Flexible etc |
最大造形サイズ | 145×145×185 mm |
積層ピッチ | 25〜300 μm |
前モデルのForm2から革新した光造形3Dプリンターが登場。新構造のレーザーユニット(LPU)とレジンタンクによって実現したLFS方式により、高いレベルでの再現性と安定性を実現。… 続きを見る
「Markforged(マークフォージド)シリーズ」とは、カーボンファイバーと金属に対応し、強度・精度・耐熱性を備えた業務用3Dプリンターのシリーズです。
革新的な技術を持っている「Markforged」は、カーボンファイバー素材などの繊維材料により、軽量で驚くべき強度の部品を産業レベルで造形することが可能な3Dプリンターです。
この3Dプリンターが作り出すプリント部品は、他とは比べることができない高いパフォーマンスを発揮します。
強度と精度を必要とする自動車や航空・宇宙分野の治具製作や、部品などのコストダウン、イノベーションを加速させることができます。
Markfrogedシリーズの金属3Dプリンター「Metal X」は従来の金属3Dプリンターと異なり、手軽に導入できる価格帯になっています。(付帯設備を合わせて、3,000万円帯が価格の目安になります。※商品の金額については要お見積り。)
手軽で安全に材料が交換できる構造となっているため、様々な金属パーツへの対応ができる世界で数少ない金属3Dプリンターです。
3Dプリンターの導入を検討している方や、既に導入済みだけど活用方法がよく分からない……と言った悩みを抱える方に対して、Markforgedの代理店である日本3Dプリンター株式会社は、スピーディーなレスポンスで様々な支援をするサービスを行っています。
とくにMarkforgedの技術認定者が製品をサポートしてくれるサービスは、始めて3Dプリンターを導入する方には心強い味方になってくれるはずです。当店は前述の日本3Dプリンター株式会社と提携をしているため、導入後のサポートについては同社が対応いたします。
Markforgedシリーズはシリーズ別でそれぞれの特徴もっています。
当店独自のMarkforged特設紹介サイトでは、製品一覧としてシリーズごとの特徴を確認できるようになっています。
この記事では、「3Dプリンターの治具・試作への活用」というテーマで、3Dプリンターがどのような現場で活用されているのかまとめています。
3Dプリンターの活躍の場は広く、多種多様なジャンルでコスト削減や作業時間削減を目的として導入されていることをお伝えしました。今後もさまざまなジャンルの製造現場で導入され、さらなる改善と発展が期待されています。
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