今回はRoland DGさんのショールーム「ローランド ディー.ジー. 東京クリエイティブセンター」にて、小型卓上切削機SRM-20についてレポートしたいと思います!
浜松町から徒歩6分、Roland DGさんの様々な製品が展示してある東京クリエイティブセンターにやってきました!
『ローランド ディー.ジー. 東京クリエイティブセンター』について
新しいショールームのコンセプトを多くの方々へお伝えするため、2013年に現住所である港区に移転されたそうです。
東京クリエイティブセンターではRoland DGの製品特徴を生かした様々な装飾ディスプレイだけでなく、それらを活用したソリューションなど “ビジネスのヒント”となる提案にも力を入れています。
また、展示だけではなくセミナーの開催やものづくり体験会など、お客様との交流の場となっているようです。
参考元:https://www.rolanddg.jp/cc/center_tokyo.html
館内にはカウンターテーブルやコーヒーマシンも設置されていました!
天井が高くとても開放的な空間で、ディスプレイもおしゃれで楽しい展示物がたくさん並んでいます。
メタル用プリンターなどのコンパクトな機材もきれいに並んでいます。
他にもたくさんのインクジェットプリンターが並んでおります。UVプリンターですね!
(事前予約制ですがデモンストレーションもしていただけます)
早速、今回の目的でもある小型卓上切削機「SRM-20」を見学させていただこうと思いますが・・・その前に切削機で作ったサンプルを見ていきましょう!
展示サンプルを見てみよう
切削なら、用途に応じて様々な材料を使い分けることが可能です。
発泡素材からの削り出しは早く削ることが出来、試作には最適ですね。
(*サンプルはSRM-20の上位機種MDXシリーズを使用して作成されています)
こちらはSRM-20で削ったサンプル(デザインモデルや基板切削のサンプルです)
穴あけやザグリなどの追加工も切削であれば可能ですし、精度が出ますね。
3Dプリンターと違うのはその滑らかさ、特にクリアパーツの作成には切削が向いているのがよくわかりますね。
個人的にはルアーのサンプルが気になりました。切削ができれば樹脂の塊から量産品に近いサンプルが作れるんですね・・・納得
3Dプリンターとの違い
切削機は3Dプリンターと違い、金属や木またはプラスチック等の塊から削り出していく工法です。
それに対し3Dプリンターは樹脂を薄く積層していくのでどうしても積層痕が出てしまいます。(精度、積層ピッチはプリンターの性能、設定により異なります)
また3Dプリンターで薄い板状のものを作った場合、時間が経つと反りが出てしまうことがありますが、切削の場合はほとんどありません。
この点からもスマホカバーのような形状は、切削機が向いていると言えます。
SRM-20について
Roland DGの切削機の中でも一番小型のモデル。
「切削をより身近に」、「机の上でものづくりする」ことをコンセプトに開発されたのが「SRM-20」です。
オフィスにも手軽に置けるデスクトップサイズの3D切削加工機「SRM-20」。
機構部分をはじめ、スピンドルユニットやツールコレットを新たに設計し、出力制御を行うソフトウェア分解能を従来機の約2.5倍にアップ。切削精度が向上し、加工表面がよりなめらかに仕上がります。
ケミカルウッドやモデリングワックスなど幅広い材料を切削でき、最終に近い素材で試作が行えます。
また、オプションで刃先の形状やサイズの異なるエンドミルを使用でき、細部まで高精度に仕上げられます。
フロントカバーがついているので安全面でも配慮されてます。(カバーを開けると自動的に止まります)
外観
卓上サイズでホワイトとオレンジを基調としたおしゃれなデザイン。
サイズも(幅)203.2mm×(奥行き)152.4mm×(高さ)60.5mmと切削機にしてはかなりコンパクトで、初心者でも扱いやすいです。
操作性
SRM-20を動かすには専用のソフトが必要になります。(SRM-20の専用ページからダウンロードして使うことができます。)
材料をSRM-20の作業テーブルに固定し、エンドミル(切削用の刃物)を取り付けて高さを合わせます。CAMソフトで切削条件を指定し、データ転送するとモーターが回り始め、切削開始です。(フロントカバーは閉めておきます)
難しそうに見えるCAMソフトですが、初めての方でもマニュアル通りに進めば誰でも切削加工が可能です。
最初はホームセンター等で売っている発泡ウレタン等で練習して、慣れてきてからケミカルウッドなどの本格的な材料に挑戦するのもいいでしょう。(写真はケミカルウッド)
作動中の音
流石に樹脂を刃物で削っていくのでそれなりに音がします。
公式の発表によると動作時(非切削時):65dB(A)以下、待機時:45dB(A)以下となっていました。
加工時に発生する切削屑や粉塵の飛散をフロントカバーが防いでくれるので室内が汚れる心配がありません。加工後に掃除がしやすいのも嬉しいですね。
SRM-20の導入事例
出典:https://fablab-nagano.org/archives/456
SRM-20は学校を含めた様々な教育現場やFab施設に設置されています。
また最近では社内Fab(会社内の共有スペースに工作機械を設置した場所)に導入されるケースも増え、他部署との交流にも役立っているそうです。
ファブラボ長野さんをはじめ全国のFab施設や大学などとコラボしたワークショップなども開催されています。
こちらは東京世田谷区のある中学の技術室。3DCADで設計したデータを元にSRM-20を生徒たちが使いこなしています。良く見ると隣にはレーザーカッターも・・・!
SRM-20 おすすめのポイント
様々な場所で活躍する「SRM-20」、おすすめポイントを以下にまとめてみました。
おすすめのポイント1:精度
部品同士の嵌合など、精度を必要とするなら切削が向いています。
おすすめのポイント2:強度
材料の塊から削り出すため、3Dプリンターと比べ強度があります。
おすすめのポイント3:表面の滑らかさ
外装部品の表面をきれいに仕上げる場合も切削が向いています。
おすすめのポイント4:基板
意外とよく使われているのが基板の切削です。こちらは3Dプリンターではさすがに難しいですね。
おすすめのポイント5:透明度
3Dプリンターで出力したものに比べ、切削機を使いプラスチック等から削り出した部品は透明度が違います。
『ローランド ディー.ジー. 東京クリエイティブセンター』ってどんな施設なの? まとめ
今回はSRM-20を中心に見学しましたが、改めて小型切削機の可能性を感じました。
3Dプリンターを使えばなんでも作れると思っていたのですが、実際にサンプルを見てみると切削での仕上がりや強度の違いに驚かされました。
今度は3DプリンターとSRM-20の組み合わせにも挑戦したいと思います。
形状そのものを作り出せる3Dプリンターのメリットと精度を出すことに秀でた切削機の良いところを組み合わせれば、ものづくりの可能性に広がりを持たすことができるはずです。
まだまだやりたいことがたくさんありますが、今回はここまでとさせていただきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました!