3Dプリンターに興味はあるものの、具体的に作れるものについてはよく分からない、という人もいるのではないでしょうか。
ここでは、3Dプリンターで実際に作れるものをご紹介し、おすすめの3Dプリンターについてもお伝えします。
3Dプリンターとは
そもそも「3Dプリンターとはどういったものなのか」をご説明しましょう。
立体モデルを作成するのに便利な3Dプリンター
3Dプリンターとは、3Dキャドの設計データを基にして、立体的な造形物を作成できる機械を指します。
薄くスライスされた2次元の層を何層にも積み重ねることによって、データを忠実に実現する精確性の高い立体モデルを作成できるのが、3Dプリンターの特徴です。
3Dプリンターの造形方式
一口に3Dプリンターと言っても、その造形方式には、複数の方式があります。造形方式によって、強度や造形速度、微細性に差がみられるため、ニーズに合った造形方式の3Dプリンターを選ぶことが、重要なポイントとなります。
関連記事:3Dプリンターはどんな仕組みでできている?5つの造形方式を解説
3Dプリンターでものづくりをするメリット・デメリット
3Dプリンターでものづくりを行うことで得られるメリットやデメリットは、以下のようなものがあります。
試作時間を短縮できるというメリット
3Dプリンターを導入するメリットとしては、まず、試作時間を大幅に削減できるというメリットが挙げられます。
実際に販売できる製品として完成するまでには、何度も試作を繰り返すことが必要です。
自社に試作品を製造するための機械がない場合、メーカーに外注して、試作品が手元に届くまでには数日間~数週間程度の時間が掛かります。
3Dプリンターがあれば、プリンターに指示を出すことで、自社内で数時間程度で試作品を作れます。3Dデータに微修正をして、完成度の高いモデルに仕上げやすい環境が整うのは、3Dプリンターを導入する大きなメリットです。
開発に掛かるコストを削減できるメリット
開発現場に3Dプリンターを導入すると、試作品を外注する場合と比べて、開発に掛かる時間だけでなく、コストを削減可能です。
3Dプリンターの導入のための初期費用は必要ですが、外注費用をカットできるため、長期的に見ると、経費削減を実現できるでしょう。
アイディアをすぐに具現化できるというメリット
3Dプリンターがあれば、アイディアをすぐに形にして、確認できるというメリットもあります。
アイディアが実際に製品開発に生かせるかどうかを把握するには、試作を通して、検証を重ねることが必要です。
アイディアを具現化した3Dモデルがあると、開発現場で活発に意見を交わし、コミュニケーションを取りながら、製品開発を効率よく進めることができます。
強度の確保が難しいというデメリット
3Dプリンターでは、2次元の層を重ねて結合するという方法で、立体モデルを作成します。そのため、層の結合が弱くなりやすく、方向によっては、十分な強度を確保するのが難しいという点は、3Dプリンターのデメリットです。
また、モデルの作成に、太陽光に弱い樹脂を使用する3Dプリンターもあるため、樹脂の特性によっては耐候性が低くなる可能性もあります。
関連記事:3Dプリンター知識「光造形方式3Dプリンター」について徹底解説!
大量生産が難しいというデメリット
3Dプリンターを使って作成する場合、1つあたりの製品を仕上げるために長い時間が掛かる傾向がみられます。
アイディアを基にした試作品を作成するのには便利である反面、同じモデルを大量生産しようとすると、膨大な時間が必要であるという点は、3Dプリンターのデメリットです。
3Dプリンターで作れるもの5選
3Dプリンターでものづくりを行うことのメリット・デメリットが分かったところで、実際に作れるものをご紹介します。
今回は代表的なものを5つ選定しましたので、ぜひ参考にしてみてください。
3Dプリンターで作れるもの①フィギュア作品
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000241.000019615.html
3Dプリンターで作れるものと言ったら、フィギュア作品を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
3Dプリンターがあれば、大型のロボットから精巧なアニメのキャラクターのフィギュアまで、幅広いフィギュア作品を作ることが可能です。
フィギュア作品の作成には、主に光造形方式の3Dプリンターが使われます。
フィギュアにカラーを着色したい場合には、バインダージェット方式が適しています。
3Dプリンターで作れるもの②治工具
製品の製造過程において用いる治具や工具を作成する際には、熱溶解積層方式(FDM方式)の3Dプリンターが使われます。
また、強度や耐熱性の高さを必要とする場合は、金属3Dプリンターを使って治工具を作成します。
小ロットでの作成にも柔軟に対応できる3Dプリンターの特性を生かせば、製造現場で必要な治工具を効率よく作成可能です。
治工具を作成するのにおすすめの3Dプリンターは「Markforged」シリーズです。アルミに匹敵する強度を持つ部品を手軽に3Dプリントすることができます。
3Dプリンターで作れるもの③釣り具のルアー
私たちにとって身近なものとしては、釣り具のルアーを作る際にも、3Dプリンターが使われています。釣り具のルアーを作成するには、透明な樹脂が加工できる光造形方式の3Dプリンターが適しています。
関連記事:誰でもできる! 簡単3Dプリンターを使ったルアー作り!
家(建築物)
出典:https://news.sharelab.jp/cases/construction/saudi-arabia-cobod-230418/
3Dプリンターで作れるものには、生活で役立つきわめて実用性の高いものが複数あります。
大型のものとしては、3Dプリンターで家(建築物)を作成することも可能です。
建築関係の3D作成においては、主にFDM方式の3Dプリンターが使われます。
関連記事:話題の3Dプリンター住宅とは?メリット・デメリットなどを詳しく解説
機械の部品
3Dプリンターには、樹脂3Dプリンターではなく、より強度の高い金属を加工できる金属3Dプリンターもあります。
金属3Dプリンターで作れるものには、ネジやナットといった日常生活でも活用できるものから、精密機械の部品まで、多様な金属製品が挙げられます。
おすすめの3Dプリンター5選
3Dプリンターで作れるものには、大きな住宅から小さい部品まで様々なものがあると分かりました。
以下では、家庭でも導入できる手頃な価格の3Dプリンターをご紹介します。
ものづくりを始めるのにぴったりなものばかりですので、3Dプリンター初心者という方はぜひチェックしてみてください。
おすすめの3Dプリンター①Adventurer3
Adventurer3は、10万円以内の手頃な価格で購入できる、熱溶解積層方式(FFF方式)の3Dプリンターです。380mm×340mm×405mmとコンパクトなサイズで、重量も9kgと軽量なため、家庭用3Dプリンターとして人気があります。
一般的な3Dプリンターは真鍮製のノズルが多いですが、Adventurer3はノズルがステンレス製であり、熱伝導率が早いところも魅力です。
加熱速度がスピーディな上に、ワンタッチで交換できるため、取り扱いがしやすい製品です。
造形マテリアル | PLA、ABSなど |
最大造形サイズ | 150×150×150 mm |
積層ピッチ | 0.05mm~0.4mm |
おすすめの3Dプリンター②UP Plus2
UP Plus2は、熱溶解積層方式の家庭用3Dプリンターです。デスクの上にも置けるコンパクトなサイズ、軽量を実現したモデルでありながら、高い性能を備えているところが、UP Plus2の特性です。
熱溶解積層方式の3Dプリンターでは難しいと言われるプラットフォームの調整を自動的に行う機能が搭載されていて、プラットフォームの微調整をすることで、精度の高いモデルを作成できます。
造形マテリアル | ABS、PLA |
最大造形サイズ | 14×14×13 cm |
積層ピッチ | 0.15〜0.40mm |
おすすめの3Dプリンター③Raise3D Pro3
Raise3D Pro3は、大型造形のニーズにもしっかり対応できる材料押出方式の業務用3Dプリンターです。
一般的な3Dプリンターの積層ピッチが0.1mmであるのに対して、Raise3Dでは積層ピッチを0.01mmから設定できるため、表面加工を殆ど施さなくてもよいほどの滑らかな表面の造形物を作成できます。
200時間以上という長時間の造形時間に対応し、大型モデルの作成が実現できるだけでなく、複数個の小さな製品を同時に作成することもでき、製造現場で大いに活躍してくれます。
造形マテリアル | T-PLA、T-ABS、PETG、PTG、Polyflex、カーボン、木質、etc |
最大造形サイズ | 300×300×300 mm |
積層ピッチ | 0.01〜0.65mm |
おすすめの3Dプリンター④Form3+
Form3+は、デスクトップサイズのコンパクトさと、製品化にも適応できる精度の高さを両立させた、光造形方式の3Dプリンターです。
透明度が高く、高密度な造形モデルを作成できるため、光学モデルや流体構造などに適しています。
造形マテリアル | Standard、Castable、Flexible etc |
最大造形サイズ | 145×145×185 mm |
積層ピッチ | 25〜300 μm |
おすすめの3Dプリンター⑤DARAM3
DARAM3は、滑らかな表面を持つ精度の高い3Dモデルを作成できる光造形方式の3Dプリンターです。
SCR®786と呼ばれる優れた透明性や靭性があり、安全性の高い樹脂を使って作成できるため、取り扱いのしやすい美しい造形物を作れるのが特徴です。
3Dプリンターで作れるもの5選 まとめ
3Dプリンターで作れるものは、実に幅広いものです。
私たちにとって身近な物としては、アニメのフィギュアや釣り具のルアーなどが挙げられます。製造現場で使う治工具や、機械の部品を作成する際にも、3Dプリンターが活用されています。
大型のものでは、家を3Dプリンターで作ることも可能です。