【CHECK 1】 フィラメントってなに?
フィラメントは、FDM法や材料噴射(マテリアルジェッティング)の3Dプリンターで、データを出力するために用いる材料です。
通常プリンターでいうとインクと同様の役割を果たします。
フィラメントは細長い糸状の材料で、リールに巻きつけてあります。メーカーによってはカートリッジなどに格納されていて、自社の材料しか使えないようにしている場合もあります。
その場合、カートリッジに付属したICチップなどで情報を読み取って、自社製品(純正品)の3Dプリンターかどうかを機械が判断しています。
フィラメントがないと、インク切れと同じことなので、3Dプリントができません。なので、3Dプリンターの造形には必要不可欠なものというわけです。
▲実際にフィラメントを3Dプリンター(UP! Plus2)に設置した様子
【CHECK 2】 どんな種類のフィラメントがあるの?
フィラメントは、合成樹脂の「熱可塑性樹脂」と呼ばれるものでできています。
熱可塑性樹脂は、熱を加えるとやわらかくなり、冷やすと固まります。
そして再び熱を加えると、またやわらかくなる性質を持ちます。
フィラメントの材質は、3Dプリンターの機種によって対応しているものが異なります。
最近は技術が進歩して、フィラメントの種類がどんどん増えています。
多種類フィラメント対応の3Dプリンター:Raise3D
業務などのプロユース向け。いろいろなフィラメントが使えて高機能を誇る3Dプリンターシリーズ。
【CHECK 3】 フィラメントは純正品以外も使えるの?
機種によっては他社製の汎用フィラメントの使用も可能ですが、メーカーの保証外となってしまうため自己責任でのご使用となります。
ヒーターの温度設定や移動スピードは純正品に最適化されているため、純正品をお使いいただく事で最高品質で造形できます。
出力に失敗しないためにも純正品の使用を推奨しています。
Fabmartでお取り扱いしているフィラメントは全てメーカー純正品です。
〜フィラメントの主な材料の紹介〜
PLA(ポリ乳酸)
PLAは、対応している3Dプリンターの多い素材です。「Poly Lactic Acid」の略で、PLAと呼ばれています。
トウモロコシやジャガイモなど、自然由来の素材を原料にしています。乳酸を重合することによってできた高分子なので、乳酸から作られたポリエステルとも言えます。
ABSと比べると、低い温度での出力が可能(およそ180-230℃程度)です。造形中の冷えによって起こるひずみやソリに強く、出力が安定しています。逆に言えば高温に弱いため、温度の高い場所に置いておくと造形物が溶けてしまう恐れがあります。
表面が硬くて丈夫なところが特徴です。しかし、そのため、削ったりやすりがけをする後加工(後工程)は不向きで塗料も馴染みづらいです。後工程のやりやすさをABSと比較すると、PLAはかなり苦労します。
出力中の嫌な臭い(樹脂が熱されて溶けたときに出る独特の臭い)が出ません。
形状確認や、後工程の少ない実用品、大きいもの、耐摩耗性を確保したいもの向きです。
使用可能な主な3Dプリンター: ダヴィンチシリーズ全般、Raise3Dシリーズ、UPシリーズなど
PLAフィラメント
造形マテリアル | PLA |
最大造形サイズ | ー |
積層ピッチ | ー |
ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)
ABSは、一般的なプラスチック製品で広く使われている素材です。
「Acrylonitrile Butadiene Styrene(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)」を略して、ABSと呼ばれています。
出力時の温度(≒融点)がPLA樹脂に比べ高く、そのため高い温度でないと出力できません(230-260℃程度)。
高温で溶かしたABSは冷やすと収縮する性質を持っています。大きい造形では途中でひずみが生じやすく、変形する可能性があります。そのため大きな造形は苦手です。
他の材質と比べると粘着性と柔軟性にやや優れており、強度があります。曲げや伸びに耐性があります。
後工程(やすりがけ作業や着色などの加工作業)が簡単で、出力後も扱いやすいです。
後工程で研磨などを行う試作品や、プラモデル・フィギュアのパーツ、稼働機構を持たせたいもの向きです。
使用可能な主な3Dプリンター: ダヴィンチProシリーズ、Raise3Dシリーズ、UP!シリーズなど
ABSフィラメント
造形マテリアル | ABS |
最大造形サイズ | ー |
積層ピッチ | ー |
造形マテリアル | ABS |
最大造形サイズ | ー |
積層ピッチ | ー |
フィラメントの主流は圧倒的に、ABS・PLAです。しかし、上でも説明しましたが、PLAは後加工がむずかしい欠点があります。
予算に余裕があるようなら、ABSも出力できる3Dプリンターを買うことをおすすめします!
PET(ポリエチレン・テレフタレート)/PETG
PETとは、「Poly Ethylene Terephthalate(ポリエチレン・テレフタレート)」の略称です。
透明性があり、強度、耐久性、耐熱性に優れています。一般的にペットボトルの素材として知られています。
しかしFDM法の3Dプリンターは積層して造形するため、そのぶん透明度が低くなります。
ペットボトルほど透明度は出ないので注意してください。
PETGは、簡単に言うとPETの強化版です。PETに「Glycol modified」が加えられてPETGと呼ばれています。
PET以上に高い透明性があり、強度、耐久性、耐熱性に優れています。
PETがペコペコしたペットボトルに使われるのに対して、PETGは化粧品の容器など高機能なボトルに使われています。
▲ 出力後の透明度の参考(※カラーが透明の場合)
使用可能な主な3Dプリンター: ダヴィンチMini/Jr/Proシリーズ、Raise3Dシリーズなど
PETGフィラメント
造形マテリアル | PETG |
最大造形サイズ | ー |
積層ピッチ | ー |
複合材料(合成フィラメント)
ABS・PLAに異素材を混ぜ込んでできたものが、合成フィラメント(複合材料)です。
例えば、木や竹の繊維を混ぜ込んでできているものが「木/竹質フィラメント」、炭素繊維を混ぜ込んでできているものが「合成カーボンフィラメント」。他に銅などもあります。
使用可能な主な3Dプリンター: Raise3Dシリーズ
合成フィラメント
造形マテリアル | 合成木質 |
最大造形サイズ | ー |
積層ピッチ | ー |
木質フィラメントは、プラスチックですが木の質感がきちんと感じられます。60%以上高品質の竹の木を使用することによって、ノズル詰まりが発生せず、滑らかな表面と出力中に竹の匂いを楽しむことができます。
ゴムライク
ゴムライクは樹脂製の中でも1番柔らかな素材です。
3Dプリンターによっては硬度の選択が可能で、伸び縮みする硬度から消しゴムのような硬度までの表現が自由にできます。
FDM用のゴムライク素材を使えば、ABSなどを出力できる家庭用の3Dプリンターでもゴムのような柔らかい造形が可能です。
ただし、対応している機種が限られていますのでご注意ください。
使用可能な主な3Dプリンター: Raise3Dシリーズ
ゴムライクフィラメント
造形マテリアル | ゴムライク |
最大造形サイズ | ー |
積層ピッチ | ー |
PC(ポリカーボネート)
PCとは、「Poly Carbonate(ポリカーボネート)」の略称です。
プラスチック素材の中では最高レベルの耐衝撃性を持ちます。ABSの5倍、塩化ビニール樹脂の10倍、アクリル樹脂の50倍の強さです。
これだけ丈夫な素材ですが、加工にも優れています。外観が美しい光沢を放つことから、高級感を出したい家電製品や日用品などに使われています。近年ではiPhone5のボディに使われていたことで有名です。
また他のプラスチック素材に比べて、比較的軽量なところも特徴です。
高温多湿の環境に弱いことと、対応する3Dプリンターがまだ少ないところが短所であり、注意が必要です。
使用可能な主な3Dプリンター: Raise3Dシリーズ
PCフィラメント
造形マテリアル | PC-MAX |
最大造形サイズ | ー |
積層ピッチ | ー |
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