3Dプリンターの用途は広がり続け、近年は医療器具やジュエリー、ネイルなど多彩な分野で活用されています。
さらに、3Dプリンターを使ったチョコレートも登場するなど、食品業界でもその魅力と未知なる可能性で注目を集めはじめました。
この記事では、3Dプリンターでチョコレートを作る方法や利用時の注意点を解説します。
実際のチョコレート作品やチョコレート作りにおすすめの3Dプリンターもご紹介します。
3Dプリンターとは?

3Dプリンターは、3DCADソフトウェアで設計された3次元データを基に、そのデータに沿ってフィラメントなどの材料を層状に積層し、立体物を造形する装置です。
従来、3Dプリンターのフィラメントは樹脂やレジンが主流でしたが、近年では、生物学的な細胞や金属、さらには食品素材といった多様な材料を用いて、より複雑な形状や機能を持つ製品を造形できるようになってきました。
3Dプリンターの活用例
3Dプリンターは多彩な分野で活用されています。
以下は、3Dプリンターの主な活用分野一覧です。
| 活用分野 | 主な活用例 |
| 医療 | 臓器モデル、人工関節、歯科用インプラント、医療器具、人工組織 |
| 製造業 | 試作品、カスタムパーツ、小ロット製品、複雑形状部品、金型 |
| 建築・建設 | 建築模型、建築部材、インテリアパーツ、景観モデル |
| 教育 | 教材モデル、生徒作品、実験器具、解剖学模型 |
| 芸術・デザイン | アート作品、ジュエリー、カスタムフィギュア、建築デザイン模型 |
| その他 | 食品、アパレル、航空宇宙部品、文化財複製 |
医療業界では、細胞を材料とした「バイオ3Dプリンター」も登場し、再生医療で患者のQOL向上に大きく貢献しています。近年は、がん細胞を事前に発見できる電気メス「iKnife」が3Dプリンターで作られるなど、医療における活用の広がりは目を見張るものがあります。
以下の記事は、3Dプリンターの医療機器活用例を紹介しています。
臓器移植や動物実験の代替など、バイオ3Dプリンターの最新事情について詳しく解説していますので、ぜひ3Dプリンターの未来を展望するためにもご一読ください。
3Dプリンターで作れるチョコレート作品

3Dプリンターを活用することで、どのようなチョコレート作品が生まれるのでしょうか?
3Dプリンターを用いたチョコレートの製法は多種多様で、その手法によって仕上がりが大きく異なります。
以下では、それぞれの手法の作品例を挙げながら、その魅力と特徴を多角的に見ていきましょう。
- シリコン型を用いたチョコレート作品
- 3Dプリンターで直接型を作ったチョコレート作品
- チョコレート専用3Dプリンターのチョコレート作品
①シリコン型を用いたチョコレート作品

まずは、シリコン型で作ったチョコレートをご紹介します。
上記の作品は、シリコン型で作られたリーフ(葉)モチーフのチョコレート作品です。
表面には繊細な木目模様が美しく表現されており、チョコレートの艶のある褐色と見事にマッチしています。
光造形式3Dプリンターは、繊細な部分まで美しく表現できる特性を活かし、上記のように文字まで細やかにチョコレートで表現できます。オブジェをもとにシリコンで型を作ると、取り外しが容易で型崩れしにくいのも魅力です。
②3Dプリンターで直接型を作ったチョコレート作品

続いて、3Dプリンターで直接型を作ったチョコレート作品を紹介しましょう。
こちらは先ほどと異なり、チョコレートの型自体を3Dプリンターで作っています。
直接型を作るので工程が楽ですが、3Dプリンターで作った型はシリコンのように柔軟性に富んでいないため、繊細な部分を表現しにくいというデメリットがあります。
そのため、上記のようにシンプルな形状のデザインのチョコレートを作る場合におすすめです。
なお、取り外しの際も欠けやすいため、星型のようにとがった部分があるデザイン、細部にこだわったデザインは作らないようにしましょう。
③チョコレート専用3Dプリンターのチョコレート作品

最後は、チョコレート専用3Dプリンターのチョコレート作品を紹介します。
こちらは、3Dプリンターのフィラメントに直接チョコレートを使いデザインしているため、3Dプリンターが得意とする流線美をうまく表現できるのが特長です。上記のようにトッピングに使うと見た目が一気に華やかになります。
ただし、型と違ってその都度専用チョコレートを補充しながら作成しなければいけません。
また、通常の3Dプリンターではチョコレートを直接用いることができないため、チョコレート専用の3Dプリンターを使わなくては作れないということを理解しておきましょう。
3Dプリンターでチョコレートを作る方法

それでは、3Dプリンターでチョコレートを作る方法を解説します。
ここでは、上記で紹介した3種類の作り方をそれぞれお伝えしていきましょう。
- シリコン型を用いた方法
- 3Dプリンターで直接型を作成する方法
- チョコレート専用の3Dプリンターを用いた方法
①シリコン型を用いた方法
まずは、チョコレート制作において最も一般的で、美しい仕上がりが期待できるシリコン型を用いた作り方を紹介します。3Dデータから精密な型を作るため、チョコレートの細部まで表現できるおすすめの方法です。
- 3DCADソフトでチョコレートの原型を設計
- 設計したデータを3Dプリンターで読み込める形式(STLファイルなど)に変換
- 3Dプリンターで原型を出力(光造形樹脂タイプ推奨)
- 原型表面をヤスリがけし、滑らかに仕上げ
- 食品用シリコンを準備し、離型剤を塗布
- シリコンを型周囲に均一に流し込む
- シリコンが完全に硬化するまで24時間程度待機
- 原型からシリコン型を慎重に除去
- テンパリング済みのチョコレートをシリコン型に流し込む
- 冷蔵庫で30分程度冷却し、型から慎重に取り出す
この製法の最大の特長は、一度作成したシリコン型を繰り返し使用できるため、高品質なチョコレートを安定して量産できる点です。また、木目模様や細かな文様といった繊細なデザインも、シリコン型の高い再現性によって忠実に表現可能です。
この手法は、プロの製菓現場においてもデザインの自由度や量産性といった点で大きなメリットをもたらしています。
②3Dプリンターで直接型を作成する方法
続いて、3Dプリンターを使って直接チョコレート型を製作する方法をご紹介します。
- 3DCADソフトでチョコレート型を設計
- 3Dプリンタ用のSTLデータをダウンロード
- 3Dプリンタで型を印刷
- チョコを型に流し入れる
- 冷蔵庫で冷やし固める
- 型から取り出す
- チョコペンで文字などを装飾
なお、型からチョコレートを取り出す際は、型を少し曲げてチョコレートを型から浮かせ、その後、型を逆さにして底を軽く叩くなどして、ゆっくりと取り出してください。
③チョコレート専用の3Dプリンターを用いた方法
チョコレート専用3Dプリンターは、チョコレートを直接材料として使用するため、高度なデザインのチョコレートアート作品を簡単に造形できます。
ただし、チョコレート専用3Dプリンターを使用するためには、専用のカートリッジ式チョコレートが必要です。
また、重量がある大きめのオブジェを作ると途中で溶解するケースもあるため、薄く平面的なデザインを作りたい場合に適しています。
チョコレート専用の3Dプリンターを使う手順は以下の通りです。
- 3DCADでデザインを作成
- 専用ソフトでデータ変換
- チョコレートカートリッジをセット
- デザインを選択
- スタートボタンを押す
- 印刷を開始
- 印刷されたチョコを取り出す
上記のYoutubeを参照いただくと、細かい手順が良く理解できます。
なお、製品によっては3Dプリンター内にデザインデータが組み込まれているため、規定デザインであれば自分で3DCADを使ってデータを作成する必要がありません。
このように、3Dプリンターを使ったチョコレートの作り方は3種類から選べます。
しかし、「②3Dプリンターで直接型を作成する方法」「③チョコレート専用の3Dプリンターを用いた方法」はあまり一般的ではなく、最も推奨されるのは「①シリコン型を用いた方法」です。
チョコレート作りにおすすめの3Dプリンターは?

チョコレート作りにおすすめの3Dプリンターは、光造形式3Dプリンターです。
先述の通り、チョコレート作りでは、一般的にシリコンを使って3Dモデルの型を取る方法を用います。
この手法において、チョコレートの仕上がりを決定する最も重要な要素は、原型となる3Dモデルの精密さです。
光造形式3Dプリンターは3Dモデルの精密さを表現できる
光造形式3Dプリンターを使うと、繊細な部分まで表現でき、かつ滑らかな表面仕上げを実現できます。
その精密さと美しさはネイルアートで活用されるほど高い評価を得ている技術です。
国内外アーティストの作品を数多く手掛けている日本のネイルアーティスト・Nakagawa氏も、光造形式3Dプリンター「Form3+」「Form2」を使用し、「海」をモチーフとした優美で躍動感ある作品を多く手掛けています。
なぜ光造形方式がチョコレート作りに最適なのか
光造形方式は、液体の樹脂に光を照射して固めることで造形を行うため、微細な形状や滑らかな曲面を高い精度で再現できます。この特性は、チョコレートの繊細な模様や立体的な形状を忠実に再現する上で極めて重要です。
さらに、光造形方式で作成した型は、シリコンに流し込む際に気泡が入り込みにくく、型崩れしにくいという優れた特性も備えています。型からシリコンを容易に取り出せるため、美しい型ができることも特長といえるでしょう。
Form 3L

Formlabsの「Form 3L」は、最新のLFS技術を搭載し、25~300μmの積層ピッチで滑らかな表面と繊細なディテールを表現できる3Dプリンターです。
2基のレーザーユニットによりスピーディーな造形が可能で、リモート操作機能や自動樹脂供給システムを活用することで効率的な量産も可能。直感的なインターフェースと簡単な印刷準備ソフトウェアにより、初心者の方でも手軽に操作できます。
| 特徴的な機能 |
|
| 造形サイズ | 335×200×300(mm) |
| 造形方式 | LFS方式 |
| 積層ピッチ | 25-300μm |
| 外形寸法 | 40.5×53×78(cm) |
| レーザー径 | 85μm |
| レーザー出力 | 250mW 2モジュール |
| 電源 | 100−240VAC 2.5A 50/60Hz220w |
| 筐体サイズ | 105×90×105(cm) |
| 重量 | 48 kg |
| 価格 | 2,030,600円 |
| サポート | メールによるメーカーサポート |
先述しましたが、チョコレートのように繊細なデザインを作る際は光造形式3Dプリンターが適しています。
しかし、クッキーを作るときに使うクッキー型は、FFF方式という一般的な3Dプリンターで対応可能です。
以下の記事は、3Dプリンターでクッキー型を作る方法を紹介しています。
3Dプリンターでオリジナルのクッキー型を作ってみたいという方はぜひご参照ください。
3Dプリンターでチョコレートを作る際の注意点

3Dプリンターでチョコレートを作る際には、以下の3点に注意しましょう。
注意点①食品対応の素材を使う
3Dプリンターでチョコレートを作る際は、食品対応の素材を用いましょう。
直接チョコレートに触れる型は、食品対応の素材でなければ人体に有害な物質が溶けだす可能性があります。
たとえば、植物由来の原料から作られる生分解性のPLA(ポリ乳酸)、PLAを改良したPLA+、PLAよりも強度、耐熱性、柔軟性を高めたPLA Proなどが食品3Dプリンティングでよく使用されるフィラメントです。
基本的に、生体適合性が高く、安全な素材が使用されていることが求められます。
シリコンを使う場合は、食品衛生法の規格基準に適合しているかの確認が必要です。
注意点②冷所で作業をする
3Dプリンターでチョコレートを作る際は、冷所での作業を心がけましょう。
チョコレートは熱に弱いため、高温の環境下では溶けてしまい、表面が美しく仕上がらない、または型から取り出しにくいなどの状況に陥りやすいです。
なお、チョコレート専用の3Dプリンターは、内部の温度を一定に保つ機能が備わっていますが、室温が非常に高い場合は、造形中にチョコレートが溶けてしまう可能性があります。
そのため、機械任せにするのではなく、室温管理を徹底し、チョコレートの温度にも注意を払いながら作業を進めることが大切です。
注意点③慎重に取り扱う
3Dプリンターでチョコレートを作る際は、慎重な取り扱いが求められます。
チョコレートは非常に繊細で、わずかな衝撃でも破損する恐れがあるため、慎重に型から取り出しましょう。
せっかく完成した作品でも、取り出し時に失敗すれば再度作り直さなければなりません。
柔軟性が低い型を使う場合は、型とチョコレートの間に空気をしっかり送り込みながら取り出してください。
デザイン性が高いチョコレートほど注意が必要です。
3Dプリンターでチョコレートを作る手順についてまとめ
3Dプリンターでチョコレートを作る方法は主に3種類あり、それぞれ特徴や仕上がりに違いがあります。
一般的には、3Dプリンターでオブジェを造形し、そのデータを元にシリコンで型を作成、そしてその型にチョコレートを流し込む手法が主流です。
この方法は、造形の精度がそのままチョコレートの仕上がりに直結するため、高精度な造形が可能な光造形式3Dプリンターが適しています。
Formシリーズは、国内外で著名なネイルアーティスト・Nakagawa氏にも愛用されている高性能な光造形式3Dプリンターです。繊細な造形にも対応できるForm 3Lの詳細については、以下のページをご確認ください。





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