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【2024】3Dプリンターの建築とは?国内外の事例・メリット・デメリットを解説

【2026】3Dプリンターの建築とは?国内外の事例やメリット・デメリットを解説

近年、短期間・低コストで住宅を建設できる3Dプリンター建築が注目を集めています。

3Dプリンター建築は従来の工法と大きく異なるため、建築基準法への適合や安全性の確保など、全面的な普及には時間がかかると見られています。しかし、国内では既にいくつかの建築物が完成するなど、本格的な実用化に向けた取り組みが進みはじめました。

この記事では、3Dプリンターを使った建築方法や国内外の事例、およびメリット・デメリットを解説します。

3Dプリンターの建築とは

3Dプリンターの建築とは、3Dプリンター技術を用いて建てられる建築物のことです。
3Dデータをもとに一層ずつ積み重ねていくことで、3Dプリンター特有の流線状のフォルム(R形状)を構築していきます。

3Dプリンターの建築物造形プロセス

3Dプリンターの建築は、従来の建築方法である鉄筋をコンクリートに埋め込む鉄筋コンクリート建築、または木材や梁を使用する木造建築とは異なり、3Dプリンターを用いてモルタルなどの素材を積み重ねながら形成していきます。

具体的には、まず3Dプリンターのロボットアームを使って、型枠の代替である積層フレームをモルタルで作成します。

この工程では、造形中の形状を安定保持できるチキソトロピー性モルタルが多く用いられます。このモルタルはノズル内では流動性を保ちつつ、排出後すぐ固まり自立するために複雑な形状の造形が可能です。

積層フレームが完成した後は、鉄筋の代替材として「スリムクリート」などの特殊コンクリート素材をフレームの隙間に流し込みます。これで、3Dプリンターの建築プロセスは完了です。なお、スリムクリートは、金属繊維を混ぜた高強度かつ高靭性のコンクリートで、大林組が特許を取得しています。

上記のYouTube動画で作られているのは、12パーツに分割されて作られたシェル型ベンチです。この柔軟かつ高強度なスリムクリートならではの引張力が生み出す、優美な曲線が特徴的な建築物となっています。

3Dプリンターとは

3Dプリンターの建築プロセスが分かったところで、次は簡単に3Dプリンターについて解説しましょう。
3Dプリンタ―とは、3DCADや3DCGソフトで作った3Dデータをもとに造形する工作機械です。

3Dプリンターは、2次元の断面形状をもとに各層を順番に積み上げて立体物を造形します。
そのため、3Dデータをプリントする前に、「スライサー」と呼ばれるソフトウェアを使ってデータを複数の断面図に分割する工程が必要となります。

具体的な手順は以下の通りです。

  1. 3DCAD・3DCGソフトウェアで3Dデータ(図面)を作成する
  2. 3Dプリンターにスライサーソフトウェアをインストールする
  3. 作成した3Dデータをスライサーソフトウェアに読み込む
  4. 層の厚さや造形速度を調整して、スライスデータを作成する
  5. スライスデータに基づいて、3Dプリンターでプリントする

なお、スライサーソフトウェアは、3Dプリンターに付属している場合もあるため、3Dプリンターを購入する際には、スライサーソフトウェアが付属しているか確認することをおすすめします。

3Dプリンター専門ショップ「Fabmart」では、スライサーソフトウェアが付属する3Dプリンターを多数取り扱っております。FFF方式から光造形方式まで、多彩な種類の3Dプリンターを取り揃えておりますので、3Dプリンターの購入を検討されている方は、お気軽にご相談ください。

3Dプリンターの建築方法①工場でプリントする

一つ目は、工場でプリントした部材を建築現場に運んで組み立てる方法(パーツ分割型)です。
住宅建築の場合、まず現場で基礎を造り、その後工場で分割して造形した部材を組み立てていき、最後に屋根や内装といった仕上げを行います。

メリット
  •  基礎工事と並行して部材の製造ができる
  • 部材を分割して製造するため、建築物の大きさに制限がない
デメリット
  • 製造した部材を現場に運搬しなければいけない
  • 工場で作られた部材を現場で組み立てる必要がある

3Dプリンターの建築方法②現場でプリントする

二つ目は、3Dプリンターを現場に設置し、直接建築物を造形する方法です。
この工法は「大型3Dプリンターによる建築」ともいわれ、国内でも大林組やセレンディスク社、竹中工務店などが採用しています。

メリット
  • 運搬コストや人件費を削減できる
  • 部材を運搬・組み立てする必要がない
デメリット
  • 天候に左右されやすい
  • 建築物のサイズや形状に制限が出やすい
  • 3Dプリンターを設置するためのスペースなど、現場の環境整備が必要

3Dプリンター建築のメリット

3Dプリンター建築のメリット

従来の建築物とは異なる3Dプリンター建築には、特徴的なメリットがいくつもあります。
以下では、3Dプリンター建築のメリットをつお伝えしましょう。

  1. コストを削減できる
  2. 工期を短縮できる
  3. デザインの幅が広がる

3Dプリンター建築のメリット①コストを削減できる

3Dプリンター建築は、3Dプリンターを主体とすることで、人件費や工費などのコストを大幅に削減できます。
必要な材料だけを造形するため、材料のロスが少ないのも特長です。

また木材のように価格変動の激しい材料を使用しないことから、工費が安定している点も魅力といえるでしょう。

3Dプリンター建築のメリット②工期を短縮できる

3Dプリンター建築は、人手による作業を大幅に削減できるため、工期の短縮が期待できます。

たとえば、3Dプリンターは24時間体制で稼働可能であり、人間のように休憩を必要としません。
さらに、人的作業と並行してプリントを進められることから、建築全体の効率が飛躍的に向上します。

3Dプリンター建築のメリット③デザインの幅が広がる

3Dプリンター建築は、独自の流線型デザイン(R形状)が特徴です。
3Dプリンターは、オブジェのような複雑で滑らかな造形にも対応できるため、建築物のデザインの自由度が格段に向上します。

従来の建築物にはない丸みを帯びた形状は、建築物特有の無機質な印象を払拭し、洗練され、かつ温かみのある印象を見る者に与えます。

3Dプリンター建築のデメリット

3Dプリンター建築のデメリット

3Dプリンター建築は、やはりメリットだけではなくデメリットも存在します。

  1. 建築基準法に適合するのが難しい
  2. 基礎工事・インフラ工事に対応できない
  3. 建築物として広く普及していない

3Dプリンター建築のデメリット①建築基準法に適合するのが難しい

3Dプリンター建築は、建築基準法への適合が難しいという課題があります。
たとえば、現場で直接3Dプリンターを使用して住宅を建設する場合、現場で作成された基礎の上にモルタルを直接積層することになります。

この場合、建築基準法で定められた工法、または建築基準法で認可された特殊モルタルを用いなければいけません。

このように、3Dプリンター住宅を建築する際には、必ず建築基準法を遵守する必要があります。

以下の記事では、3Dプリンターの家の建築基準法について詳しく解説しているので、3Dプリンター住宅の建築を検討している方はぜひご一読ください。

【2024】3Dプリンターで家は作れる?建築基準法をクリアした事例やメリット・デメリットも解説

3Dプリンター建築のデメリット②基礎工事・インフラ工事に対応できない

3Dプリンター建築は、基礎工事やインフラ工事に対応できないという点もデメリットです。
3Dプリンターは、建物の外壁などの大規模な造形には適していますが、基礎工事で求められる高い強度や、水回り・電気回りといった精密な作業には適していません

これらの工事には別途専門業者に依頼する必要があるため、建築時には複数の業者の協働が必要となります。

3Dプリンター建築のデメリット③建築物として広く普及していない

3Dプリンター建築は近年登場した建築技術であるため、法的な整備も含めて建築物としての普及が進んでいません

3Dプリンター建築技術そのものが発展途中であり、加えて歴史が浅く、実績やデータが十分に蓄積されていないことから、長期的な耐久性や安全性についての保証が未知数です。

3Dプリンター建築が一般の消費者に広く浸透するには、さらなる技術開発と法整備が必要といえるでしょう。
3Dプリンターで作られた家のデメリットについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

3Dプリンターで作られた家のデメリットとは?メリットや今後の課題についても解説

日本の3Dプリンターの建築

では、実際に日本国内ではどのような3Dプリンターの建築物があるのでしょうか?
以下では、日本で話題を集めた3Dプリンター建築を2例ご紹介します。

企業名 主な特徴 建築方法
Polyuse
  • 国内初となる10平方メートル超の建築物
  • 3Dプリンター特有のR形状
工場でプリント
(パーツ分割型)
セレンディクス社
  • 1LDK・水回り完備の住宅
  • シニア世代を対象とした一般向けに販売
工場でプリント
(パーツ分割型)

①Polyuse

Polyuse
引用元:BRIDGE

2022年、東京都港区のPolyuseは国内初となる3Dプリンター建築物施行に成功しました。
建築方法は、事前に工場で12のパーツをプリンティングし、現場で組み立てる方式を採用しています。

この建築物は、従来、建築確認申請が不要であった10平方メートル以下ではなく、人間が生活を営める17平方メートル超の広さを確保しています。なお、10平方メートルを超えた3Dプリンター建築物は国内初でもありました。

使用素材はモルタルで、パーツ内部にもモルタルを充填しています。
このモルタルは標準コンクリートと同レベル以上の強度を持ち、構造計算においての安全性も確保されています。

②セレンディクス社

セレンディクス社
引用元:SUUMO

兵庫県西宮市のセレンディスク社は、2023年8月末より1LDKのシニア向け住宅6棟を一般販売しました。
この住宅はパーツを分割・現場で組み立てるという方法で施工され、施工に要した時間は44時間30分という驚異的な短時間でした。

面積は50平方メートル、価格は550万円という破格でありながら、水回りも完備しており、室内はホテルのスイートルーム並みの広さと快適性を誇ります。

断熱性能においては、一般住宅としての機能を十分に満たすために、日本よりさらに基準が厳しいヨーロッパの住宅基準を採用。モルタルを堆積しながら壁面を作成し、壁内部には等間隔で鉄筋を組み込み強度と安全性を確保しています。

海外の3Dプリンターの建築

続いて、海外の3Dプリンター建築をご紹介しましょう。
海外の3Dプリンター建築は、国内より比較的規制が少ないため、より実用的でデザインの自由度が高い建築物が多く見られました。

企業名 主な特徴 建築方法
アイコン社
(アメリカ)
  • 世界最大の3Dプリンター住宅街を建設
  • 空調と静音性を確保
現場でプリント
(大型3Dプリンターによる建築)
WASP社×DIOR
(ドバイ)
  • 期間限定のコンセプトブティック
  • DIORのアイコンカナ―ジュ模様をデザイン
工場でプリント
(パーツ分割型)

①アイコン社

アメリカ・テキサス州のアイコン社は、2024年8月に世界最大となる100棟の3Dプリンター住宅街を完成させました。一棟完成に要する期間は数日で、素材はコンクリート粉末と砂の混合物を使っています。

こちらは、面積は140~185平方メートルと日本の平均的な3Dプリンター住宅の10倍以上の広さで、価格は約6610万~8820万円と通常の住宅相場よりもリーズナブルです。

3Dプリンターならではの壁の厚みは、外部の熱気や騒音を遮断する効果が抜群ですが、現時点では電波状況に課題を抱えています。建築方法は、直接3Dプリンターを現場に導入し、一棟づつ構築しています。

②WASP社×DIOR

WASP社×DIOR
引用元:TECTURE MAG

イタリアの3DプリンターメーカーであるWASP社は、フランスのファッションブランド・DIORとコラボしてドバイのビーチに3Dプリンターで作ったコンセプトブティックショップを建設しました。

このショップは2021年10月~2022年3月末まで期間限定であり、中東において初となるドバイ国際博覧会に合わせて開催されたものです。建築時は、工場で分割したパーツを造形し、現場に設置した鉄筋に組み込み構築されています。

WASP社×DIOR
引用元:TECTURE MAG

上記画像のように、オフホワイトのカラーはショップ内の商品と調和し、壁全体には、DIORを象徴するカナ―ジュ模様が施され、円筒形のフォルムに美しく映えています。

使われている素材は粘土と砂、天然繊維の混合物で、天然繊維のナチュラル感が、無機質になりがちな3Dプリンターの壁面に瑞々しい生命感を宿しています。

3Dプリンターの建築についてまとめ

3Dプリンターの建築は、その独特なフォルムと特徴的な建築方法で世界中で注目を集めています。外気温の影響を受けにくい住宅としての魅力だけでなく、ホテルやショップなど、様々な施設への活用も期待されています。

そんな最新の3Dプリンティング技術をいち早く体験したい方は、ぜひ3Dプリンター専門ショップ「Fabmart」へご相談ください。お客様のご希望や目的に合わせて、最適な3Dプリンターをご提案いたします。

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