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3Dプリンターで作られた家のデメリットとは?メリットや今後の課題についても解説

3Dプリンターを用いた住宅の建築は世界中で広がっています。様々なプロジェクトが世界各地で起こり、プリンターの性能もめざましく進化してきました。
日本での3Dプリンター住宅建築は世界に遅れをとってきましたが、人材や資材不足を解消する手段として、また住宅の概念にイノベーションを起こすものとして今後市場拡大が予想されます。

この記事では、3Dプリンター住宅のメリットやデメリット、課題などについて詳しく解説します。

3Dプリンターで作られた家(3Dプリンター住宅)とは?

3Dプリンターで作られた家(3Dプリンター住宅)とは?

3Dプリンター住宅とは、3Dプリンターでプリントアウトして建てた家のことをいいます。
3Dプリンターは、3DCADの設計データをもとに立体モデルを作る機械のことを指し、スリーディー・システムズ(3D Systems Corp)を創業したアメリカの技術者チャック・ハル(Chuck Hull)氏が取得した特許が失効した2000年代に一気に世界に浸透しました。
その技術を応用して建築した住宅が3Dプリンター住宅です。

3Dプリンター住宅は、建設用の大型3Dプリンターを使用し、主にモルタルを材料として出力します。
3Dプリンターは、現地に持ち込んでその場で出力する場合と、工場で出力したパーツを運搬して現地で組み立てる2通りに分かれます。

3Dプリンター技術の建築への応用は2014年ごろから始まり、ハイブランドのコンセプトストアや、住宅地において100棟以上のまとまった住宅の建設、空き家リフォームへの活用など世界各国で様々なプロジェクトが進められ、3Dプリンターの性能も格段に進化していきました。

一方日本では、厳しい建築基準法をクリアすることがとても難しく、3Dプリンターを使った建築はなかなか進まない状況にありました。
しかし、2022年2月に建築基準法に準拠した建物が初めて作られたことを皮切りに、ホテルや住宅などの建築が各地で始まり、2023年には約50平米の平屋住宅が550万円で販売開始されました。

今後日本では、低価格でローンを組まずに買える家やセカンドハウスとして、3Dプリンター住宅は一層需要が高まるとみられています。

3Dプリンター住宅のデメリット

3Dプリンター住宅のデメリットとして以下のものが挙げられます。

  • 建築基準法に準拠することが難しい
  • 鉄骨や鉄筋を入れることができない
  • 住宅設備工事に対応できない
  • 広い敷地が必要な場合がある
  • 単調な見た目になりやすい

一つずつ詳しく解説していきます。

建築基準法に準拠することが難しい

災害が多い日本の建築基準法は世界一厳しいといわれています。
3Dプリンター住宅は鋼材などを使っていないため、本来は製造体制などに関する国の審査を受ける必要がありますが、3Dプリンター住宅の原材料であるモルタルはその審査の指定建築材料に該当しないので、別の検査を受けることになります。

材料の強度や建築物全体の構造安全性についての評価を受け、大臣認定を取得して初めて建築が許可されますが、評価の厳しさに加えて手間や時間、大きなコストがかかることからハードルが高くなっています。

鉄骨や鉄筋を入れることができない

日本の建築基準法は、構造耐力上主要部分(柱など)に、モルタルを使うことを想定していないので、法律に準拠するには鉄骨や鉄筋を内部に入れる必要がありますが、3Dプリンターはそれに対応していません。

基礎工事においても同様で、土台の強度を上げるための鉄筋を入れることができないため、災害時に倒壊などの恐れがあります。

住宅設備工事に対応できない

3Dプリンターは電気・ガス・水道などのインフラ設備を作ることができません。
一般的な住宅と同じように別途専門業者による工事が必要になりますが、家の建設の何倍もの時間と追加費用が必要になります。

海外では3Dプリンター住宅をZEH(Net Zero Energy House)住宅として作り、自然エネルギーの取り入れなども始まっていますが、日本ではまだ進んでいないのが現状です。

広い敷地が必要な場合がある

3Dプリンターを現場に持ち込んで出力する場合、頑丈な足場を組んで大きいプリンターを設置するため、かなり広い敷地が必要になります。

出力を現場で行うのか工場で行うのかは業者に依りますが、狭い場所に建てたい場合などは注意が必要です。

単調な見た目になりやすい

3Dプリンターを使って住宅を作ると、限りなくシンプルな見た目になったり、プリンターの機種によっては積層痕が大きく出る場合があります。
その特徴を活かすデザインや、出力後の外壁塗装の実施、積層痕を最小限にする出力なども増えてきましたが、従来の住宅のイメージとは異なる見た目のため好き嫌いが分かれる点にも注意が必要です。

3Dプリンター住宅の耐久年数は?

3Dプリンター住宅の耐久年数は?

3Dプリンター住宅の耐久年数は木造住宅よりも短いとされています。
鉄筋や鉄骨を埋め込むことが難しい現行の3Dプリンターでは日本の建築基準法をクリアすることができず、自然災害や火事などに倒壊したり、大きい損傷を受けやすいためです。

しかし、前述の通り、2022年以降国内でも耐震基準を満たし建築基準法をクリアする建物が建ち始めました。
今後は技術の進化によって3Dプリンター住宅も耐久年数が大幅に伸びていくことが予想されます。

3Dプリンター住宅にはメリットもある

以下の3Dプリンター住宅のメリットについて解説していきます。

  • 建築コストが安い
  • 住宅価格が変動しにくい
  • 少ない人員で建設できる
  • デザイン性の高い家が作りやすい
  • 短期間で建設できる

建築コストが安い

3Dプリンター住宅の建築では、運搬費や人件費が最低限で済むので大幅に建築コストを抑えることができます。

日本での新築住宅価格は平均で3,000~4,500万円ほどですが、3Dプリンター住宅は300万円ほどからの価格設定になっています。
長期間のローンを組まないで済む購入、気軽な住み替えなどが可能になり、住宅購入の概念自体を変えていく将来性があります。

住宅価格が変動しにくい

一般的な住宅価格は、建築資材や住宅設備の価格高騰によって値上がり続けています。
特に新型コロナウイルスの流行をきっかけに起こったウッドショックとアイアンショックの影響は長引き、木材や鋼鉄類は以前に比べて7割近い値上がり状態にあります。

一方3Dプリンター住宅は、これらの資材をほとんど使わないため市場価格に影響を受けることはありません。

少ない人員で建設できる

従来の住宅建設では、土木や水道、電気など様々な専門の職人を必要としますが、3Dプリンター住宅は最小限の人数で完成させることができます。
建築業界では技術者の不足が大きな課題となっていますが、3Dプリンター住宅の建築では人員不測のあおりを受けることはほぼありません。

デザイン性の高い家が作りやすい

従来の建築工法では職人の技術に依る部分が多く、またコストや時間もかかってしまうことから敬遠されがちだった複雑な形状や曲線などを含む設計も、3Dプリンターを使えば自動で精巧に出力できます。

自由に設計しそのまま造形できるため、デザイン性が高い建物にとても向いていて、住宅に限らず美術館やコンセプトショップなどでも多く採用されています。

短期間で建設できる

3Dプリンターは24時間稼働させることができるので、その分工期を短くすることが可能です。
建築において特に時間がかかる外壁塗装などの仕上げ工程も3Dプリンター出力にすることで、物件によっては24時間以内に完成させることも可能になりました。

一般的に数か月かかる工期を数日で完了できる圧倒的なスピードは、一般住宅に限らず、災害時などの仮設住宅建設などにおいてもとても有用です。

3Dプリンター住宅の今後の課題は?

日本での3Dプリンター住宅建設における課題は何より建築基準法をクリアできない点にあります。
鉄筋や鉄骨を入れることができず耐震基準などを満たせないことは、3Dプリンターでの建築における最大のデメリットといえます。

しかし、今後、3Dプリンターの進化や施工技術の革新が進み、3Dプリンターの機種や施工業者を問わず基準をクリアできる体制が整えば、日本でも3Dプリンター住宅はより身近なものになっていくでしょう。

3Dプリンターの家についてのまとめ

3Dプリンター住宅は、日本では厳しい建築基準法に準拠しないため建築は難しい状況にありました。
しかし、実際に個人向けの家の販売が始まり、今後は様々な技術革新によって日本でも普及が進んでいくとみられています。
まだデメリットは様々ありますが、これまでの「家」の概念を変える住宅として、3Dプリンター住宅は大きな可能性を持っています。

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