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【2026】3Dプリンターで家は作れる?建築基準法をクリアした事例やメリット・デメリットも解説

3Dプリンター住宅の市場は、年々拡大の一途を辿っています。

従来の建築手法とは異なる3Dプリンター住宅は、自由な設計や迅速な建築など多くの魅力を持っていますが、一方で「建築基準法に適合しているのか?」「安全性は担保されているのか?」などの疑問を感じている方もいるでしょう。

この記事では、3Dプリンターの家は建築基準法をクリアするのか?という疑問に対してわかりやすくお答えします

実際の事例や3Dプリンターの家のメリット・デメリットについても解説しているので、3Dプリンターの家の購入を検討している方はぜひ参考にしてください。

3Dプリンターで家は作れる

3Dプリンターの家とは
引用元:ShareLab

上記の画像は、ドイツで初めて3Dプリンターによって建築された2階建ての住宅です。
この画期的なプロジェクトは、ノルトライン・ウェストファーレン州政府と、建設業界のデジタル化を推進するPERI社によって共同で進められました。

Ina Scharrenbach大臣は、低コスト化を実現する3Dプリンターの家のメリットを生かし、建設業界にさらなる普及を求めると述べています。

このように3Dプリンターを使って壁や床、天井といった建物の構造体そのものを立体的に印刷し

家が建てられる時代が到来しました。3Dプリンター独自の素材(フィラメント)を積層する技術を応用して、モルタルなどの素材を使い、住宅の主要部分を3Dプリントすることで、従来の建築方法とは異なる新しい形の家づくりが実現できるのです。

3Dプリンターの家については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひご一読ください。

【2024】3Dプリンターハウスとは?メリットや実例を紹介

3Dプリンターで家を建てるメリット

従来の住宅建設の常識を覆す3Dプリンターの家は、多くのメリットがあります。

低コストで建設可能

3D建築技術により住宅建設費用が大幅に削減され、一般的な新築の10分の1程度のコストで家が建てられます。
これにより、多くの方に手が届きやすく、無理のない資金計画が立てやすくなります。

資材コストの影響を軽減

3Dプリンターの家は、木材や鉄鋼に頼らず主に特殊なモルタルを使用します。
そのため、資材の価格変動に左右されにくく、予算管理がしやすくなります。

少人数で効率的に建設

建設の多くを自動化できるため、少ない人員での工事が可能です。
人手不足が深刻な地域でも施工しやすく、人件費の削減にもつながります。

自由なデザインが可能

3Dプリンターなら、従来の工法では難しかった曲線や複雑な構造も実現できます。
コストを抑えながら、個性的なデザインの家づくりを楽しみたい方に最適です。

短期間で完成

3Dプリンターによる建設は、天候に影響されにくく、さらに24時間稼働が可能です。
災害時の仮設住宅など急ぎの工事にも対応でき、従来の工期を大幅に短縮します。

3Dプリンターで家を建てるデメリット

最新技術として注目を集める3Dプリンターの家ですが、現時点ではいくつかのデメリットも存在します。

施工場所の制限

施行時には大型の3Dプリンターを設置する必要があるため、十分な作業スペースの確保が必須です。
日本の住宅地に多い狭小地では、プリンターの設置自体が困難な場合があります。

デザイン面での課題

3Dプリンターによる建築特有の積層痕が外観に現れやすく、画一的な印象を与えがちです。
積層痕を目立たなくするためには、外壁の追加工事が必要となるため、コストアップにつながる可能性もあります。

建築基準法への対応

日本の厳格な建築基準法に対応することが、3Dプリンター住宅の実用化における最大の課題となっています。
3Dプリンターの家で使用される特殊なモルタル材料は、現行の建築基準法で認められた建材に含まれていません
建築基準法整備が進むまで日本での普及に時間がかかることが予想されます。

以下の記事は、3Dプリンターで作られた家のメリット・デメリットに着目して解説しているのでぜひご参照ください。

3Dプリンターで作られた家のデメリットとは?メリットや今後の課題についても解説

一般的な3Dプリンターの家は建築基準法クリア不可

3Dプリンターの家は建築基準法をクリアする?

3Dプリンターの家は建築基準法をクリアできるのでしょうか?
先述したように、3Dプリンター住宅は従来の建築手法と大きく異なります。

結論からお伝えすると、3Dプリンターの家が建築基準法をクリアするには現規制に対する適応が必要です。

日本の建築基準法

日本の建築基準法は、住宅の安全性や強度を確保するため、建材や工法に厳しい基準を設けています。
現行の法律は「木造」「鉄筋コンクリート造」「鉄骨造」など、従来通りの技術での構法に基づいたものです。そのため、新しい3Dプリンター技術に完全に適応はしていないのが現状です。

一般的なモルタルは建築基準法を満たさない

3Dプリンター住宅に使われる一般的なモルタルは、建築基準法第37条に定める「指定建築材料」に該当しないため、法的な強度基準を満たすものと認められていません。そのため、3Dプリンターで造られる家の構造物は、耐震性や耐風性、耐火性といった構造耐力の基準に適合させる必要があります。

建築基準法に適う家を3Dプリンターで建てるには

建築基準法では3Dプリンターの家で使うモルタル使用場所が限定

3Dプリンターの家の素材には、主にモルタルを使用しています。
このモルタルを3Dプリンターの家に使う場合、どのように扱えば良いのでしょうか。

建築基準法を満たすモルタルを使う

モルタルの建築基準法を満たすためには、強度や耐久性を十分に確保しなければいけません。たとえば、特殊モルタル「デンカプリンタル」とセメント系素材「スリムクリート」を混合した素材であれば、建築基準法を満たします。

モルタル:セメントと砂を混ぜたペースト状の建築材料。壁や目地の仕上げに使われる。

参照:国土交通省「指定建築材料に関する大臣認定制度の概要①

建築基準法をクリアするには認定を受ける

3Dプリンターの家にモルタルを使用するには、建築基準法第20条に基づき国土交通大臣からの「大臣認定」を受ける必要があります。この認定では、3Dプリンターの家に使用する材料の安全性を品質や強度面から審査されます。

以下では、3Dプリンターで作ったモルタルの使い分けと建築基準法について表でまとめてみました。

モルタルの用途 構造を支える部分への使用 建築基準法上の扱い
壁などの非構造部材として使用 手続き不要
型枠として使用し、内部に鉄筋を配してコンクリートを充填
(型枠部分)
  • 型枠部分は手続き不要
  • コンクリート部分は鉄筋コンクリート造として扱う
型枠として使用し、内部にモルタルを充填して構造部材として使用 大臣認定が必要

上記の表から分かるように、3Dプリンターで作成したモルタルを建築物に使う場合、建築基準法上の扱いは「構造を支える部分に使用するか否か」によって異なります

非構造部材としての使用、たとえば壁や型枠として用いる場合は特別な手続きは不要です。
しかし、構造耐力を要する箇所に用いる場合は、法的な強度基準を満たさなければいけないため、国土交通大臣の認定が必須となります。

参照:国土交通省「建設用3Dプリンタにおいて用いられるモルタルの取扱い

3Dプリンターで建築基準法をクリアした家の事例

先述した建築基準法を満たせば、3Dプリンターによる自由な設計が実現します。
以下では、建築基準法を満たした3Dプリンターの家をご紹介しましょう。

事例 建築基準法クリアのポイント
大林組 デンカプリンタルとスリムクリートを組み合わせた高強度な素材の利用
Lib Work 構造箇所と外装部分(3Dプリンター)を分離して建造
セレンディクス社 住宅メーカー・百年住宅との連携
會澤高圧コンクリート株式会社 2層構造の外側層に配筋を施した鉄筋コンクリートを充填

①大林組

大林組
引用元:大林組

2023年、大林組が開発した3Dプリンター実証棟「3dpod™」が、国内で初めて建築基準法に基づく国土交通大臣認定を取得しました。

この3Dプリンターの家は、デンカ株式会社が開発した特殊モルタルのデンカプリンタルと、高強度のスリムクリート(圧縮強度180N/mm²、引張強度8.8N/mm²、曲げ強度32.6N/mm²)を組み合わせることで建築基準法が求める構造強度を満たしました。この特殊モルタルは、建築物や土木構造物に必要な強度と耐久性を持ちながら、型枠なしでも形状を保持できる特性も持っています。

3dpod™では、壁や床などの全ての地上構造物に3Dプリンターを採用し、壁部分は現地で直接プリントして組み立てられています。また、電気、空調、水道といった設備や断熱性能も従来の建築物と同等の基準をクリアし、実用的な建築物として完成しました。

この3Dプリンターの家は9年にわたる研究開発の集大成でもあり、建築基準法に適合した新しい建築手法として今後の建設業界に大きな影響を与えることが期待されています。

②Lib Work

Lib Work
引用元:Lib Work

熊本県の住宅メーカーLib Workは、2024年1月に国内初の土を主原料とする3Dプリンター住宅「Lib Earth House “modelA”」で建築基準法をクリアしました。この家は、素材の約75%を土で構成しており、その土をベースとして石灰やセメント、藁、もみ殻を混ぜた独自の材料を使用し、自然との調和を重視して作られています。

建築基準法をクリアするため、Lib Workは建物の構造箇所に集成材を用いたラーメン造を使い、3Dプリンターで成形した土壁は自立した外装材として配置する設計にしました。

この「構造と外装の分離」により、土壁が建物の強度に直接関与せず、法的な安全基準を満たしています。なお、全工期は約3ヵ月で、3Dプリントに要した期間は約2週間というわずかな期間でした。

③セレンディクス社

セレンディクス社
引用元:セレンディクス社プレスリリース

3Dプリンター専業住宅メーカーのセレンディクス社が、建築基準法に適合した2人居住用住宅「serendix50(フジツボモデル)」の建設に成功しました。

この家は愛知県で2023年7月25日に竣工し、デジタルファブリケーション技術を駆使して44時間半で完成。従来工法に比べ大幅な工期短縮とコスト削減を実現しながら、建築基準法が定める構造基準や耐久性を確保しました。

セレンディクス社は、2022年3月に国内初の3Dプリンター住宅「serendix10(スフィアモデル)」を23時間で完成させ、その後も高いニーズに応えて開発を続けてきました。

「serendix50」は、シニア世代からの一般住宅仕様の要望に応え、慶應義塾大学KGRI環デザイン&デジタルマニュファクチャリング創造センターと共同で開発したモデルです。また、「百年住宅」などの企業と連携することで、安全基準を満たしつつ550万円という価格も注目を集めています。

④會澤高圧コンクリート株式会社

會澤高圧コンクリート株式会社
引用元:會澤高圧コンクリート株式会社

2022年7月北海道、北海道にある會澤高圧コンクリート株式会社が、建築基準法の基準を満たしたコンクリート3Dプリンター住宅の建設に成功しました。北海道新冠町の太陽の森ディマシオ美術館に併設された、国内初の3Dプリンター宿泊施設でもあります。

この3Dプリンターの住居は、建築基準法に準拠するため外装を型枠として活用し、2層構造の中空層を確保。外側層には配筋を施した鉄筋コンクリートを充填し、構造体としての強度を保持しました。内側層には断熱材を充填して、居住性能も確保しながら建築基準法が要求する品質基準をクリアしました。

建築基準法に適合しながらも、アームロボット式3Dプリンターの特性を活かした流線型デザインを持つモダンな建築物として注目を集めています。

建築基準法と3Dプリンターの家の課題点

3Dプリンターの家は、建築業界の新たな技術として注目されていますが、日本の建築基準法との整合性や技術的問題など多くの課題点も存在します。

課題点①構造的な強度

日本の建築基準法では、地震や台風などの自然災害に備えて高い安全性が求められており、3Dプリンターの家もこの基準を満たすことが求められます。

しかし、現時点では、3Dプリンターで使用できる材料にも限りがあり、耐震性や耐風性を確保するためには、従来の鉄筋コンクリートなどの補強材と組み合わせなければいけません。このように、建築基準法に準拠して3Dプリンターの家を作るためには、多くの障壁が存在するのが現状です。

課題点②3Dプリンターの技術的限界

3Dプリンターの技術的な特性が、建築設計の自由度を制限している点も課題です。
3Dプリンターは材料を層ごとに積み重ねて構築するため、複雑な形状や大型の構造物作成に適していません

設計の柔軟性が求められる家の建築では、3Dプリンターでの対応ができない、もしくは適用範囲が限られるケースがあります。

課題点③建築基準法の整備

建築基準法自体が、3Dプリンター住宅のような新しい建築手法に対応できていないという問題もあります。
現行の建築基準法では、3Dプリンター住宅に特化した規定が欠如しており、法的な整備が急務となっています。

3Dプリンター住宅の普及には、材料開発の加速、構造設計手法の確立、そして新技術の使用に対応した建築基準法改正という課題克服が欠かせません。

未来の家づくりの可能性を大きく広げるためにも、これらの課題に目を向けて、社会全体で問題意識を共有することが重要です。

3Dプリンターの家と建築基準法についてまとめ

3Dプリンターの家を建築する際は、建築基準法に適合した素材を遵守することが求められます。
現在、3Dプリンター住宅の完全な普及にはいくつもの障壁がありますが、将来的に建築基準法が改正されることで3Dプリンター住宅の普及率は大きく高まると予想されています。

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