3Dプリンターの用途は大きく広がり、現代においては「3Dプリンターハウス」と呼ばれる3Dプリンターを使用して住宅が造形できるまでに技術は発展しています。
マイホームを購入すれば数十年も払い続けなければいけません。しかし、3Dプリンターを用いてあらゆるハウスの作成が低コストで可能になれば、物価が高騰している昨今においてマイホームを持てる人が多くなるでしょう。
本記事では、3Dプリンターハウスの概要をはじめ、メリットやデメリット、国内外で既に制作されている3Dプリンターハウスの事例についても詳しく解説します。
3Dプリンターハウスとは?
3Dプリンターハウスとは、3Dプリンターで制作された住宅です。日本では2022年3月に初めて3Dプリンターハウスが完成し、大きく注目を集めました。
3Dプリンターハウスは主に建設用の機種を使用し、モルタルを材料として制作されます。
そして、制作方法としては主に以下の2通りです。
- 現場に持ち込み、その場で制作
- 工場で出力したパーツを組み立てて制作
まだまだ多くの課題はあるものの、今後も低コストでローンを組むことなくマイホームを持てることから、3Dプリンターハウスの需要は高まると予想されます。
3Dプリンターハウスが注目されている理由
3Dプリンターハウスが注目されている理由は、短期間かつ低コストでの制作が可能な点が挙げられます。
しかし、注目を集める理由はこれだけではありません。
もちろん、マイホームを持つ人から見ても魅力ではありますが、大きく注目を集める理由には自然災害によるものでもあるのです。日本は世界から見ても台風や地震など自然災害が多く、近年では南海トラフ地震も懸念されています。
被災地では津波や地震で家が流され、数ヶ月住居なく生活をしなければいけない人が増加します。その理由には、資金的な問題もありますが、従来の建築方法だと数ヶ月〜数年かかるためです。
しかし、3Dプリンターハウスが実現すれば被災地の仮設住宅建設も活用されることが注目される背景となっています。
3Dプリンターハウスシティが誕生する?

アメリカのテキサス州では3Dプリンターハウス100棟が並ぶ住宅コミュニティの建設が進んでおり、それに伴いセレンディクス株式会社はヤマイチ・ユニハイムエステート株式会社と日本初の3Dプリンター住宅の実現を目的とした業務提携の開始を発表しました。
普及が進む3Dプリンター住宅技術を確立させ住宅不足や物価高騰、ワークライフバランスの両立等を社会課題解決を目指す取り組みであり、テキサス州のような3Dプリンターシティが2024年に実現するかもしれないと注目を集めています。
引用:SUAVE
3Dプリンターハウスのメリット

従来の住宅と比べた際の3Dプリンターハウスにおけるメリットは以下の3点です。
- 低コストで建築できる
- 短い期間で建築が可能
- デザイン性にこだわれる
メリット①低コストで建築できる
低コストでの建築が実現できるのは、3Dプリンターハウスの最も大きなメリットと言えるでしょう。
本来の建築による住宅の建設であれば、相場はおよそ1,000〜4,000万円ほどです。しかし、3Dプリンターハウスの料金はおよそ500万円ほどと、かなり安価で購入できます。
この理由としては、本来の数十人もの人手で行っていた建築を数人で抑えられるため、人件費を大幅に抑えることができる点にあります。
老後まで続く住宅ローンを数年で完済できる点から3Dプリンターハウスの購入を検討している人は増加傾向にあります。
メリット②短い期間で建築が可能
3Dプリンターハウスの建築時間は建築される家の大きさや場所によって異なりますが、2日〜3日ほどで建設されることがほとんどです。
数ヶ月かけて建築される家に比べると、かなり期間が短縮されるため前述した通り被災地の仮設住宅建設など大幅に活躍できます。
24時間働くことができる3Dプリンターは人間とは異なり疲労などがないため、ハウス自体の品質が落ちることもありません。
メリット③デザイン性にこだわれる
従来の建築工法では困難と言われている難しい曲線や細かな装飾の建築であっても、3Dプリンターであれば可能です。
また、3Dプリンターハウスは細かいモルタルやコンクリート積み重なって形成されるため、積層痕が少なからず残る点が課題として挙げられますが、サイディング工事などを行えば積層痕も問題はありません。
追加で費用はかかるものの従来の家を建築する費用に比べられば、十分コストを安価に抑えることは可能になります。
3Dプリンターハウスのデメリット
3Dプリンターハウスのメリットは以下の3点になります。
- 建築基準法に準拠できない
- インフラ設備の工事が必要
- 広い敷地が必要なため建築できる場所が限定される
デメリット①建築基準法に準拠できない
3Dプリンターハウスは現在の建築基準法で定められている強度(耐震性・耐風性・耐火性・耐荷重など)をクリアすることはできません。なぜなら、使用するモルタルという材料が国土交通大臣が定める指定建築材料に該当していないためです。
そのため、モルタルだけでは家として扱えないため鉄筋を入れて強度をクリアするしかないのです。もちろん、鉄筋を入れることで費用はかさんでしまいます。
3Dプリンターにおける建築基準法や家の耐震性については以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
デメリット②インフラ設備の工事が必要
3Dプリンターで出力できるのはあくまでも建物だけであり、造形をしながら電気やガス、水道などのインフラ設備を作る作業はできません。そのため、人が住むことは難しいでしょう。
インフラ設備の導入には、追加工事費用を払う必要があり3Dプリンターハウスの標準価格のみに収まることはありません。
デメリット③広い敷地が必要なため建築できる場所が限定される
3Dプリンターの設置を行うにあたり、足場を組んだりする必要があります。そのため、3Dプリンターハウスのサイズによっては3Dプリンターの設置ができず造形ができないということにあります。
狭い場所に3Dプリンターハウスの設置をすることは難しく、3Dプリンターハウスの建設場所を自由に選ぶことは難しいでしょう。
3Dプリンターハウスはデメリットも多くまだまだ課題も多くあるのが実情です。今後の課題については以下の記事を参照ください。
3Dプリンターハウスの事例

3Dプリンターハウスは国内だけでなく海外でも制作が進んでいます。ここでは以下6つの事例を紹介します。
- Lib Earth House modelA
- serendix50
- 3D Villa
- フィボナッチ・ハウス
- ルーン
- 3Dpod™
事例①Lib Earth House modelA

引用:Libwork
「Lib Earth House modelA」は住宅メーカーLib Workは制作した3Dプリンターハウスで国内で初めて土を原材料としています。これまではコンクリートやモルタルを中心とした3Dプリンターがハウスだけでしたが、環境への配慮や持続可能性が追求されています。
2025年には100平米の平屋での一般販売も予定しており、注目が集まっています。
事例②serendix50

引用:SUUMO
「serendix50」は3Dプリンターハウスの制作で有名なセレンディクス社が手掛け、夫婦向けの一般住宅です。
これまでにセレンディクス社が制作したserendix10は用途がグランピング施設に限定されていましたが、キッチン、バス、トイレといった水回り設備を完備した鉄骨造の50平米の1LDKで価格は550万円となっています。
また、建築時間も44時間30分と2日間かからずに作られています。
事例③3D Villa

引用:Share Lab
「3D Villa」はサウジアラビアの不動産開発会社Dar Al Arkanが制作した3Dプリンターハウスで、建物面積は345平米、全高は9.9mと現場で3Dプリントされた建築物では世界で最も高い建物です。
使用した材料はコンクリートであり日本円でおよそ145万円未満で全ての壁を造形しています。
事例④フィボナッチ・ハウス

引用:3DPid.arts
「フィボナッチ・ハウス」はオランダを拠点とする建設3Dプリントサービスのスタートアップ Twente Additive Manufacturingが建設した宿泊施設です。
デザインには特にこだわっており、螺旋状の外観には2つのロフト付き寝室、バスルーム、プライベートエントランスなど宿泊施設として世界初「Airbnb」にも掲載されています。
事例⑤ルーン

引用:LIFE INSIDER
「ルーン」はIcon社が手掛ける3Dプリンターハウスで、デザイン性や広さなど一般的な家と比べても遜色なく制作されています。開放感のある間取りが魅力であり、ベッドルームが3つ、バスルームが2つに加えて広さは2014フィート(約187平米)となっています。
3Dプリンターで制作されているため、流線形の壁が特徴でありデザインにもこだわっています。
事例⑥3Dpod™

引用:大林組
「3Dpod™」は株式会社大林組が2022年5月から建設に取り組んでおり、2023年4月に完成させました。3Dpod™は「構造耐力」について国土交通大臣の認可を受けているため、建築基準法をクリアしています。
壁や床などの部材に3Dプリンターを用いており、壁は現地で全てプリントを行っています。
3Dプリンターハウスについてのまとめ

本記事では3Dプリンターハウスの概要やメリット・デメリット、事例について解説しました。建築基準法は大きな課題となっていますが、3Dプリンターで作られる家の建築基準で認可を受けることができれば今後3Dプリンターハウスシティが様々な場所で実現するでしょう。
物価の高騰によりマイホームを持つ人が少なっている昨今において、大きな希望となっている3Dプリンターは今後も大きな注目が集まっています。





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