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【2025】3Dプリンターのエンクロージャーは自作できる?手順や注意点などを解説

3Dプリンターの制作物の品質を改善するために、エンクロージャーを利用する企業が増えています。自社でも導入をしたいけれど「どのように改善されるのわからない」「買うのはもったいないから自作できないか」と悩む方も少なくありません。

そこで本記事では、3Dプリンターのエンクロージャーを自作するノウハウを解説します。使用上の注意点も紹介するので、ぜひ最後までお読みください。

3Dプリンターのエンクロージャーとは?

enclosure

エンクロージャーとは、3Dプリンターで制作物をするうえで、内部環境を安定させるための囲いのことです。

製造プロセスで流動物から固形物になるときの密度が変わるため、慎重に冷却しなければいけません。そのときに外気温に急激に冷却されると、反りやクラック(ひび割れ)が発生することがあります。エンクロージャーは、そのような激な温度変化を防ぐうえで重宝されているのです。

多くの場合、市販のエンクロージャーを購入するのが一般的ですが、カスタマイズ性や予算の関係で自作する企業も少なくありません。

3Dプリンターの仕組みについて詳しく知りたい方は、下の記事も参考にしてください。

3Dプリンターとは? 基本の造形方式と活用法を解説

エンクロージャーを使うメリット4つ

3Dプリンターは単体でも一定の品質を保てますが、エンクロージャーがあると品質、環境、作業性などの面でさまざまな恩恵を得られます。3Dプリンターでエンクロージャーを使うメリット主なメリットは下の4つです。

  1. 品質が向上する
  2. 安全性が向上工場
  3. 騒音が低減される
  4. 有害物質の飛散を防止できる

①品質が向上する

エンクロージャーを使うと、制作物の品質が改善される可能性が高まります。庫内の温度と湿度を安定させられるため、反りやクラックが発生しにくくなるからです。

エンクロージャーの質や3Dプリンターの動作環境にもよりますが、概ね7~10℃の温度上昇、湿度は約10%ほど下げることができます。

3Dプリンターの制作過程では流動素材を固形化するため、外気で冷却すると劣化の原因になりえます。とくに屋外で利用する場合には、外部環境に影響されず品質を維持できるでしょう。

②安全性が向上する

エンクロージャーを使うことで安全性の向上も期待できます。

3Dプリンターには、ヒーターベッド(台座を温める装置)やホットエンド(フィラメントを加熱して溶かす)など、高温部分が多いため、むき出しだと触れて怪我をする恐れがあります。

エンクロージャーでは危険な箇所を覆うことができるため、不注意で扱ったり小さい子どもが触れたりするリスクを抑えられるでしょう。

③騒音が低減される

エンクロージャーによる騒音の低減も大きなメリットです。

メーカーにもよりますが洗濯機のような駆動音が出る製品も少なくありません。しかし、エンクロージャーを使うと騒音が5デジベルほど下がります。日常生活でいえば、少し音を出す電子レンジを回しているイメージ。同じ部屋にいると音が聞こえますが、壁を挟むと気にならないくらいのレベルです。

静かなオフィスで使いたい、夜間に大量の3Dプリンターを使う企業にとって魅力と言えます。

④有害物質の飛散を防止できる

3Dプリンターでは多くの化学素材を使うため、それに伴う有害物質の飛散を防ぐことができます。とくに排気口からの臭気に頭を悩ませる方が多く、換気性を高めても効果が限定的という例は珍しくありません。

エンクロージャーを使えば臭いを漏れにくできます。ただし、エンクロージャーだけでは不十分な製品もあるので、排気ダクトやホースもあわせて活用しましょう。

エンクロージャーを自作する手順

市販でも多くのエンクロージャーを販売していますが、カスタマイズするため自分で制作したい方もいるかと思います。ここでは3Dプリンターのエンクロージャーを自作する流れを解説します。

  1. 材料の調達
  2. 組み立て
  3. 効果の検証

各ステップで見過ごしがちなポイントも解説します。

①材料の調達

エンクロージャーを作るために適した材料を用意しましょう。材料の例を以下にまとめました。

  • 難燃シート:2m×2m
  • 支柱:園芸用が望ましいABS樹脂パイプ:ホームセンターで入手可能
    クリアホルダー:A3が理想
    マグネットバー:30cm×2~4本

材料を選ぶ際には安全性、使用性の観点から選びましょう。

たとえば、3Dプリンターに高温箇所があるため、火災防止のために難燃シートを使う必要があります。着脱に手間をかけると使用性が落ちるので、軽い素材や組み立て・解体が簡単な支柱やマグネットを利用すると良いかもしれません。

また、制作中の様子が見えるよう透明性の高いシートもあるとベターです。

②組み立て

必要な素材を準備を集めたら、下の順序で組み立てます。

  1. 支柱・クリアファイルを使ってフレームを組み合わせる
  2. 3dプリンターをフレーム内に設置する
  3. 難燃シートをフレームに張り付ける
  4. カバー揺れ防止のマグネットを取り付ける

支柱を組み立てるときには専用の樹脂コーナーを準備しましょう。透明のクリアファイルは汚損防止の土台にできるので、あらかじめめ下に敷いておきます。

フレームが完成したら3Dプリンターを設置します。フレームから大きくはみ出していないか、接触していないかなどをチェックしましょう。

難燃シートを張るときには、フィラメントの注入口やダクトの取り付けも見越して切り込みを入れます。前面は簡単に開閉できるようマグネットでシートを留めると良いでしょう。

③効果の検証

エンクロージャーを取り付けたらそれで終わりではありません。本当に効果が得られるのか、室温、湿度、制作物の品質、臭気などさまざまな観点から評価します。

個人の趣味で使う分には体感で効果があったかどうかわかれば良いですが、企業で導入を検討するときには定量的に評価しましょう。

  • 室温は何度上昇したか
  • 湿度は何%下げられたか
  • 騒音は何デジベル下がったか
  • 制作物の劣化箇所はいくつ削減できたか

エンクロージャーを自作するためには予算と人員を準備しなければいけません。データを集めて社内の稟議に通せる準備をしておきましょう。

【2025】3Dプリンターの自作キットとは?メリット・デメリットを紹介

エンクロージャーを自作する際の注意点

printer caution

3Dプリンターのエンクロージャーは品質と作業性などが向上しますが、自作するうえではいくつか注意点があります。

  • ある程度のスペースが必要
  • 制御電源部まで保温する可能性がある
    極力隙間を作らない

エンクロージャーを作ったけれど効果がなかった」と後悔しないためにも、ここできっちり押さえておきましょう。

ある程度のスペースが必要

3Dプリンターの環境を整えるためには、テーブルの可動範囲までカバーできるエンクロージャーが必要です。そのため、ある程度スペースを取ることになります。

製品にもよりますが、Ender3のように一辺が最大250mmだと、エンクロージャーのサイズは1辺50cmほど必要です。とくに狭い部屋に置くと他のスペースを圧迫するため、全体の作業性能が落ちるかもしれません。

作業スペースに融通が利かない場合は、なるべくコンパクトな3Dプリンターを使いましょう。

制御電源部まで保温する可能性がある

エンクロージャーがあれば温度と湿度が安定しますが、形状を考慮しないと制御機器と電源部分までカバーする可能性があります。

制御機器(電源・コントロールボックス、操作パネルなど)まで覆ってしまうと熱を持つため、製品自体の寿命が短くなったり故障の原因になったりします。

エンクロージャーを自作する際には切り込みを入れて制御・電源部分をむき出しにしておきましょう。また熱がこもると発火の遠因になるので、シートは難燃性のものをおすすめします。

極力隙間を作らない

エンクロージャーを自作するときには、極力隙間を作らないよう設計しましょう。せっかくカバーをしても思うように温度が上がらないかもしれないからです。

とくに冬は気温だけでなく湿度も下がるため、いかに密閉空間を生み出すかが品質を左右します。また隙間がなければ余分なスペースを取らないため、作業場所の融通も利くでしょう。

ただし、あまりに強固なエンクロージャーを作ると、ふだんのメンテナンス性が落ちるかもしれません。3Dプリンターはノズル、サーミスタの交換、ファンの掃除など細かなメンテナンスが必要です。そのため、エンクロージャーの密着が強すぎると脱着の手間がかかります。

後の作業性を念頭に入れつつ、隙間のないエンクロージャーを自作しましょう。

おすすめの市販エンクロージャー5選

エンクロージャーの自作は、カスタマイズ性やコスト面からメリットも多いですが「組み立てる自信がない」「材料を調達するのが手間」という方もいるでしょう。

ここでは、市販でおすすめのエンクロージャーを5つ紹介します。

おすすめのエンクロージャー 特徴 価格
UniTak3D Photon 摩耗や水に強い
コントロールボックスの操作が容易
999円~
YOOPAI 印刷の様子を観察しやすい
保湿・保温性に優れている
Ender3 S1 Pro保護カバー:5,949円
Ender 3 S1:7,999円
LOUJIN 持ち運びが簡単
低温環境でも影響が少ない
恒温加熱ボックス用耐火防水プリンターカバー:6,519円
耐火性保温性難燃剤:13,489円
BambuラボA1コンボ スタイリッシュなデザインが人気
組み立てが簡単
11,405円
TOPCUBE 制御部分に負担がかからない
静音性と安全な作業環境を提供
 A1用アクリル:66,673円
A1ミニブラック:21,652円

①UniTak3D Photon

UniTak3D Photonは、3Dプリンターの主なキットなどを手掛けるブランドUniTak3D のエンクロージャーです。

樹脂の3Dプリンターを紫外線や湿気から守ることができ、遮光カバーも高品質な素材で作られています。柔軟性にも優れ、摩耗や防水面でも効果を期待できます。

また、エンクロージャーの側面にはフラップが設けられ、コントロールボックスも容易に操作できるでしょう。サイズも3Dプリンターに沿うようにフィットするため、作業場所に困るリスクも減らせます。

UniTak3D はPhotonの他、Photon S/Mars Proなど6種類以上のタイプに対応しているので、互換性の面でも安心です。

②YOOPAI

YOOPAIは、3Dプリンター用のLEDライトやエンクロージャーなどを手掛けるブランドです。

エンクロージャーにはLEDライトストリップが搭載されており、印刷環境を観察しやすくなっています。また保温・保湿性に優れており、制作物の品質を維持できるのもメリットです。

実際に利用した人の声では「空調の影響で反りや剥がれが目立ったがエンクロージャーをつけて安定した。夏場でも心置きなくエアコンが使える」と評価していました。

また、ビルチャンバーは密閉力に優れているため、騒音の低減にも寄与するでしょう。

③LOUJIN

LOUJINは、アウトトドア製品や電気工具、ファッショングッズなどを手掛けるブランドです。

3Dプリンターのエンクロージャーは折り畳み式で、簡単に収納や持ち運びすることができます。サポートフレームも頑丈な構造になっており、衝撃性や耐久力にも優れています。印刷環境は防塵性と保温性を実現し、低温下でも一定の品質を実現できる点も魅力です。

頻繁に作業場所や外部環境が変わる方におすすめと言えるでしょう。

④BambuラボA1コンボ

BambuラボA1コンボは3Dプリントのシステム開発、アクセサリー製造・販売を手掛けるChitu Systemsのエンクロージャーです。

Bambuシリーズのサイズにフィットし、スタイリッシュな見た目が人気を呼んでいます。ガラスの側面からは製造工程をつぶさに観察できるため、品質をこまめにチェックできるでしょう。組み立ての説明書も丁寧に解説されており、専用の工具や技術も必要ありません。

「初めての組み立てなので自信がない」「見栄えも重視したい」という方におすすめです。

⑤TOPCUBE

TOPCUBEは、Amazonでも人気ランキングに入るエンクロージャーで、とくにBambu Labと親和性が高いことで知られています。

制御部分の一部を箱の外に設置しているため、プリンターに負荷がかからない構造になっています。気密性にも優れており、20デジベルの騒音低減と印刷中の有害物質の飛散防止を実現。また高度な温度制御で40度以上にならないようコントロールしている点も強みです。

取り付けは5分程度で終わるため、急な作業環境の構築にも対応できるでしょう。

エンクロージャーの自作まとめ

本記事では、3Dプリンターでエンクロージャーを使うメリットと自作の流れ、おすすめのエンクロージャーなどを紹介しました。

3Dプリンターの制作物の品質を上げるうえで、エンクロージャーは有効です。市販のフレームやシート、マグネットを使えば低コストで自作できます。

ただし、作業スペースや寸法、エンクロージャーの形状を考慮しないと、思うような効果は得られないかもしれません。エンクロージャーの自作方法に迷ったときには、ぜひ本記事を見返してください。

適したサイズの3Dプリンターを探すなら、ぜひFabmartへご相談ください。

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