Raise3D E2は、3Dプリンターのひとつです。知名度が高いため、3Dプリンターの購入を検討したことがある人は、Raise3D E2の名前を目にした経験があるかもしれません。
そのRaise3D E2について、具体的にどのような3Dプリンターなのか、詳しいスペックや使用できるフィラメントなどと一緒に解説していきます。
3DプリンターのRaise3D E2とは
Raise3D E2とは、アメリカのRaise3D社が開発した3Dプリンターです。フィラメントを熱で溶かしながら、造形を行っていく熱溶解積層法、FDMを採用しています。
厳密にはフィラメント溶解製法、FFFに分類され、卓上でも使用できるのが特徴です。
ノズル部分でフィラメントを溶かすという性質上、造形エリア全体を加熱する必要がないためチャンバーは付属しておらず、手軽に扱えます。
Raise3D E2の基本的な製品情報
Raise3D E2は、材料押出形式、MEXの3Dプリンターで、MEX内のFDMに分類されます。
外形サイズは607mm×596mm×465mmで、重量はおよそ32kgです。
入力電圧は100Vから200V、50Hzと60Hzのいずれにも対応可能で、消費電力は350Wとなっています。
スライサーソフトには独自開発のideaMakerが使用され、サポートOSはWindowsとUbuntuの2通りです。入力データ形式は、STLあるいはOBJという、オーソドックスな2つから選択できます。
ヘッド数は2個で、シングルヘッドとデュアルヘッドの使い分けが可能です。
最大造形数は、シングルヘッド時が330mm×240mm×240mm、デュアルヘッド時は295mm×240mm×240mmと変わります。
いずれの場合も、最小積層ピッチは0.02mm、最大積層ピッチは0.65mmです。
価格は税抜きで498,000円で、Raise3D E2内のバリエーションはなく、オプションで付け外しできる機能もありません。したがって、購入時に価格が大幅に変わることはないです。
Raise3D E2に搭載されている主な機能
Raise3D E2には、独自の機能が数多く搭載されています。
その中から、3Dプリンターとして注目すべきものを確認していきましょう。
独立型デュアルエクストルーダーによる造形
Raise3D E2の代表的な機能としては、独立型デュアルエクストルーダー、IDEXが挙げられます。
独立型デュアルエクストルーダーは文字通り、フィラメントを溶かして造形するエクストルーダーが2つ備わっていて、それぞれが干渉することなく稼働できる機能です。
そして、複製モードとミラーモードの2通りから選択できます。
複製モードは、同じモデルを同時に作成することが可能で、量産に適しています。
ミラーモードは、左右対称の造形ができるモードです。
ひとつのモデルデータを用意して、Raise3D E2側でモード選択をするだけで、自動で左右対象の造形を行ってくれます。そのため、左右対称のモデルデータを個別に用意する必要がありません。
いずれのモードも、同時に2つの造形を進められるため、高い生産性を実現可能です。
自動ベッドレベリング
Raise3D E2には、自動でプラットフォーム、ベッドの水平を測定し、レベリングを行う機能が搭載されています。
手動でのベッドレベリングは、調整が大変である上に、時間がかかりやすいです。
Raise3D E2であれば、そのようなレベリングの手間がかかりません。
そして、ノズルとベッド間の距離を自動で維持でき、安定した造形エリアを作り出します。
自動ベッドレベリングによって、外的要因や造形時の変化に柔軟に対応することで、精度の高い造形を実現可能です。
また、ベッドの接着力も高まるので、造形途中に剥がれ落ちてしまうというリスクを下げられます。
タッチ操作ができる液晶パネル
Raise3D E2の制御設定やアシスト機能の使用といった操作は全て、タッチパネル式になっている液晶で行なえます。
ボタンの操作方法を覚える必要がないため、早い段階で使いこなせるようになるでしょう。
そして、インジケータの役割も担っている液晶パネルは、7インチのサイズがあります。
画面が大きい上に、複数の色が使われているため、稼働や設定の状態も把握しやすいはずです。
キャリブレーションのガイドシステム
Raise3D E2を使用し始める際には、エクストルーダーの位置を決めるキャリブレーションが必要です。
そのキャリブレーションをスムーズに行えるように、ガイドシステムが搭載されています。
自己判断でのキャリブレーションが苦手という人でも、画面の表示に従って作業をするだけで、高い精度で造形を行える調整ができるでしょう。
トラブルを未然に防ぐセーフティ機能
Raise3D E2には、正面あるいは上面のドアを開けると、造形作業が一時的に停止するセーフティ機能が備わっています。
その機能によって、誤って手が挟まれたり、熱されたノズルに触れて火傷をしてしまったりするトラブルは起こらずに済むでしょう。
さらに、造形中のタスクを自動で保存するという機能も備わっています。
万が一停電によって稼働が停止してしまったとしても、保存された状態のタスクから再開することが可能です。
停止してしまったからといって、最初からやり直す必要はありません。
Raise3D E2を稼働させ続けるために必要なアクセサリー
Raise3D E2には、必要なアクセサリーは標準でセットになっています。
ただ、中には消耗品で、交換が必要になるものもあります。そのアクセサリーをひと通り確認していきましょう。
ノズル
溶けたフィラメントを押し出す部分であるノズルは、代表的な消耗品です。
溶けたフィラメントは、一部が熱によって炭化します。それがノズルに付着することで、造形の精度が悪くなってしまいます。
そのため、稼働時間に応じて、交換しなければいけません。
Raise3D E2に標準で備わっている純正ノズルの交換目安は、1000時間以上の稼働です。
また、Raise3D E2で使用できるノズルは、0.2mm、0.4mm、0.6mm、0.8mmの4通りあります。
標準装備されているものは0.4mmなので、消耗していなくても、必要に応じて購入して、交換すると良いでしょう。
ノズルヒーター
ノズル部分で熱を発し、フィラメントを溶かすノズルヒーターも、消耗品です。
ノズルヒーターが劣化すると、フィラメントを十分に溶かしきれず、詰まりが発生しやすくなります。
また、温度が一定ではなくなり、造形が不安定になることも多いです。
そのような症状が出たら、ノズルヒーターを交換しましょう。
Raise3D E2では、左右のエクストルーダーそれぞれにノズルヒーターが用意されています。
ビルドサーフェス
プラットフォームとして使用するビルドサーフェスは、150回以上が交換目安となっている消耗品です。
交換目安を上回ると、ビルドサーフェスが変形し、安定した造形ができなくなったり、接着力が弱まって造形途中に剥がれるリスクが高まります。
よって、高頻度で造形を行うのであれば、積極的に交換しましょう。
Raise3D E2のビルドサーフェスは、単体のものと、フレキシブルプレートがセットしたものの2通りが用意されています。
Raise3D E2に対応しているフィラメント
Raise3D E2が対応できるフィラメントの種類は、PLA、ABS、PET、PC、TPU、PA、PP、ASAの8種類が基本です。
Raise3D社の純正フィラメントであれば、強化繊維複合のものや合成木質のものなど、一部の例外以外はひと通り対応しています。
そして、Raise3D社の純正フィラメントだけでなく、サードパーティ製のフィラメントも使用可能です。
使用できるフィラメントとしては、BASF社のサポート用フィラメントや、Polymaker社製のフレキシブルフィラメントなどが挙げられます。
幅広い目的で使える高性能なRaise3D E2
Raise3D E2は、高性能であるにもかかわらず、3Dプリンターの中では価格が低めということで有名です。
そのため、個人の趣味やビジネスなど、幅広い目的で取り入れようと考えている人は大勢いるでしょう。
ただ、何も知らずに購入するのはリスクがあるため、Raise3D E2に関するひと通りのことは、あらかじめ知っておきましょう。
造形マテリアル | PLA、ABS、HIPS、PC、TPU、TPE、PA、PETG、ASA、PP、PVA など |
最大造形サイズ | 330×240×240 mm |
積層ピッチ | 0.02〜0.65mm |