NC工作機械とは？特徴やメリット・デメリットを解説

人手不足の解消や業務の効率化、安全性の確保などを目的に、工作機械の自動化を進める企業も増えています。
そんな中注目されているのが、NC工作機械です。

今回はNC工作機械がどういうものなのか、仕組みや値段、メリット・デメリットなどについて詳しく解説します。

NC工作機械とはどのような機械？

NC工作機械とは

NC工作機械とは、数値制御によって加工作業を自動化できる工作機械のことです。
NCというのは「Numerically Control」の略で、数値制御を意味しています。
工作物に対する工具経路や加工に必要な作業の工程などを、数値情報で司令して制御することを数値制御と言います。
加工作業においては、作業員がハンドル操作によって行なうのが一般的でした。
それを数値情報で司令を出し、自動化できるようにしたものがNC工作機械というわけです。

NCの技術は、アメリカで1950年代頃に開発されていました。
それが日本国内においても使われるようになり、NC技術の応用開発も大きく進んだことで、様々な工作機械にNC装置が備え付けられるようになりました。
NC工作機械にも、NC旋盤やNCスライス盤など、様々な種類があります。
コンピュータによって数値制御を行なうNC工作機械は、CNC(Computerized Numerical Control)工作機械と呼ばれることも多いです。

NC工作機械の仕組み

NC工作機械は、様々なパーツが組み込まれており、それによって加工作業を自動化しています。
NC操作盤は、加工を行なうための工具や主軸回転数、移動距離などの動きを操作する基盤です。
機械の底辺部分には、ベッドというものが備えられています。
他にもベッドから垂直に伸び上下方向に移動するコラム、工具を取り付ける主軸、ツールマガジンをセットし自動交換するATCなど、様々なパーツによってNC工作機械はできています。

NC装置は、数値制御を行なうためのプログラムを打ち込む重要なシステムです。
パソコンを使って作成したプログラムを転送する、またはNC操作盤から直接入力するなどし、加工方法などを決定します。
NC装置に送られたプログラム通りに工作機械が動作し、素材を自動加工するという仕組みになっています。

NC工作機械の値段

NC工作機械の値段はオープン価格となっているため、公式には公表されていませんが1台1,000万円程度のものから、1億円するようなものまで幅広いラインナップとなっています。
オプションの有無でも値段は大きく変わるため、導入を検討してる場合は事前にメーカーに問い合わせて確認しておくようにしましょう。

NC工作機械を使ってできることは？

NC工作機械は、様々な加工作業ができる機械です。外形加工や内径加工、ネジ加工といった基本的な加工はもちろん、円錐形状のように角度をつけたテーパー加工なども可能となっています。
こういった加工作業を、自動化できるというのがNC工作機械の魅力です。

NC工作機械のメリット・デメリットは？

NC工作機械のメリット・デメリットを解説していきます。

メリット

NC工作機械の大きなメリットになるのが、安全性の高さです。
加工作業の中には、大きな危険が伴うものもあります。
硬いものをカットする時に刃物で怪我をしてしまう、作業員が機械に巻き込まれてしまうといったことが起こる可能性も十分考えられます。
しかし、人の手ではなく機械が自動的に加工作業を行なってくれるNC工作機械を使えば、労働災害が起こる危険性が低くなるため作業員の安全を確保できます。

安定した品質の製品を生み出せるというのも、NC工作機械を使う大きなメリットです。
すべてプログラム通りに自動で素材を加工できるため、作業員の操作ミスや熟練度などによって、仕上がりがバラつくことがありません。
寸法や面の状態など、同じ品質を保って製品を製造できるということは、大きなメリットになるでしょう。
また、局面や円弧など、複雑な加工もNC工作機械なら高精度で製造可能です。

製品の量産化や、コスト低減ができるということで、NC工作機械を導入するケースも多くあります。
どのように素材を切削するのか、条件をプログラムで入力しておけば、後はNC工作機械が自動的に加工してくれます。
加工工程にかかる時間を短縮できるため、製品の量産化ができます。
さらに、NC工作機械は作業員を一人配置すれば複数台の運用が可能です。
生産性が向上するだけではなく、人件費の削減も図ることができます。

デメリット

NC工作機械のデメリットは、導入コストが高いということです。
NC工作機械を運用するためには、工作機械だけではなくプログラムに必要なソフトウェアや、NC制御装置などの周辺設備も導入しなければなりません。
それらの設備を整える時に、ある程度のコストがかかってしまうのはデメリットになるでしょう。
また、NC工作機械を運用するためにプログラムを作成する必要があります。
何の素材をどのように加工するのかによって、NCプログラムの開発や作成をすることになるため、加工前の段取り作業が発生します。

プログラムを組むための、専門的な知識をスタッフに学ばせる必要も出てくるでしょう。
素材を安全に素早く、手軽に加工できるNC工作機械ですが、準備にある程度の時間と労力がかかってしまうのがデメリットです。
NC工作機械は導入したからといってすぐ使えるわけではなく、事前準備や専門的な知識の習得が必要になると考えておきましょう。

NC工作機械とマシニングセンタは別物？

NC工作機械と似た機械として、マシニングセンタが挙げられることが多いです。
マシニングセンタには、自動工具交換装置が搭載されています。
何かを加工する際、素材の形状によっては工具の交換が必要になることも少なくありません。
人間の手で工具の交換を行なうと、時間がかかってしまいますし、作業を一時中断する必要があります。

マシニングセンタであれば、機械が自動的に工具を交換し作業を進めてくれるため、手間を省くことができます。
しかし、マシニングセンタもNC工作機械と同じように、数値制御によって自動加工を行なう機械です。
NC工作機械とマシニングセンタは別物ではなく、NC工作機械の種類の1つにマシニングセンタがあると考えて問題ないでしょう。

メリットとデメリット両方を考えてNC工作機械の導入を検討しよう

NC工作機械は、本来人の手で行なう必要がある作業を、数値制御によって自動化できる便利な工作機械です。
作業員の安全を確保できる、コスト削減を図れる、製品の量産化を可能にするなど様々なメリットがありますが、デメリットも存在するという点には注意しなければなりません。
プログラムの作成には専門的な知識が必要になりますし、導入するには多額のコストがかかってしまいます。

NC工作機械を導入する時は、現状をしっかり把握し、コストをかける程のメリットがあるかどうかをじっくり検討することが大切です。
また、様々なメーカーがNC工作機械を製造・販売しており、機能性や値段も大きく変わってきます。
導入コストが予算内に収まるか、自社が必要としている機能が備わっているかなどを比較しながら、NC工作機械を選ぶようにしましょう。

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