市販されている3Dプリンターの価格幅は非常に広く、性能を追求すると高額になりやすいです。
そのため、高性能な3Dプリンターが欲しいけれど、予算内に収まるものが見つからないという人も多いのではないでしょうか。
そのような人に向けて、高性能かつ価格が安い、コスパの良い3Dプリンターをご紹介していきます。
安い3Dプリンターと高い3Dプリンターの違い
まずは、価格が安い3Dプリンターと、高価格帯の3Dプリンターでは、何が違うのかを把握しておきましょう。
違う部分は、複数ありますので一つづつ紹介していきます。
造形の精度
価格が安い3Dプリンターと高価格の3Dプリンターは、造形の精度に違いが出ることが多いです。
高価格の3Dプリンターは、素材や設計などにコストがかけられています。そのため、データに忠実な造形ができる可能性が高いです。
それに対して安い3Dプリンターは、製造にかけられるコストが限られています。よって、高価格帯の製品ほどの精度は実現できないかもしれません。場合によっては、造形後に、研磨などの作業が必要となります。
ただ、精度にこだわりすぎない場合、安い3Dプリンターでも満足できる可能性はあります。
トラブルが発生するリスクの高さ
高価格の3Dプリンターは、構造がしっかりしている上に、高精度の造形を行えるため、安定した造形をしやすいです。
それに対して安い3Dプリンターは、使用している素材や構造などの違いによって、造形トラブルが起こりやすいです。慣れていないと、思った通りの造形ができなかったり、造形途中に停止してしまったりすることは珍しくありません。
そのため、安定して使いこなせるようになるまで、試行錯誤が必要になりやすいということは覚えておきましょう。
造形スピード
安い3Dプリンターと高価格の3Dプリンターでは、造形のスピードにも差があります。基本的には、高価格帯の方が、短時間で造形を終わらせられると考えておきましょう。
ただ、急いで造形する必要がない、空いている時間を造形のために有効活用できるという人であれば、ネックになりにくいです。
また、比較的小さなものを作る場合は、安い3Dプリンターでも短時間で造形を終わらせられます。
よって、小さなものばかりを作るのであれば、造形スピードの差は特に問題にならないでしょう。
造形方式
3Dプリンターには、様々な造形方法があります。その中で、安い3Dプリンターで採用されるのは、フィラメントを溶かして造形する熱溶解積層方式か、UV光やレーザーを使った光造形方式のいずれかです。
他には、液体樹脂を飛ばして造形するインクジェット方式や、粉末を熱で溶かす粉末燃結方式、粉末を接着剤で固める粉末固着方式などがあります。
これらの方式は、3Dプリンターの中でも特殊で、製造コストもかかるため、まず高価格帯の3Dプリンターにしか採用されません。
ただ、基本的な造形であれば、熱溶解積層方式あるいは光造形方式で対応できます。
対応できる素材
3Dプリンターは、造形方式によって、対応できる素材の種類が異なります。粉末燃結方式や粉末固着方式であれば、樹脂だけでなく金属を使った造形も可能です。
けれど、どちらも高価格帯の3Dプリンターに採用される方式なので、安い3Dプリンターでは金属を使った造形は不可能です。
基本的に、安い3Dプリンターは、樹脂の造形だけを行うものと考えておきましょう。
また、熱溶解積層方式でも、特殊なフィラメント素材は、安い3Dプリンターでは対応できない場合があります。
安い3Dプリンターの基準とは
3Dプリンターの価格は、数万円から数億円と、非常に幅が広いです。その中で、高価格帯のハイエンドと、中価格帯のミドルエンド、低価格帯のローエンドの3通りに分類されます。
安い3Dプリンターは基本的に、ローエンドに当たります。厳密な定義はありませんが、大体100万円以下とされることが多いです。
場合によっては、50万円以下、10万円以下が安い3Dプリンターの基準になることもあります。
安い3Dプリンターの選び方
ひと口で価格が安い3Dプリンターと言っても、製品の数は多いです。その中から何を基準にして選べばよいのかをご説明します。
メーカーで選ぶ
3Dプリンターを製造しているメーカーの数は、非常に多いです。その中には、あまり性能が良くない3Dプリンターを作るところもあるでしょう。
けれど、3Dプリンター業界に詳しくなければ、どのメーカーが良くて、どのメーカーが良くないのかがわからないはずです。
ただ、性能が高くて価格が安い3Dプリンターを製造しているメーカーは、ある程度の知名度があります。
その中から選べば、大きな失敗をすることはありません。まずは、コスパの良いメーカーで絞り込んだほうが無難です。
造形方式で選ぶ
安い3Dプリンターは、熱溶解積層方式と、光造形方式の2通りから選ぶことができます。
熱溶解積層方式は3Dプリンターの中でも定番と言える方式で、選択肢が多いです。そして、使える素材の種類が多いという特徴があります。
それに対して光造形方式は、液体樹脂の中から造形を行うという性質上、表面が滑らかになりやすいです。また、造形途中にずれが発生しにくいので、精度が高めです。
それぞれの特徴を把握した上で、どちらが良いのかをまず決めておきましょう。
値段で選ぶ
もちろん、値段で選ぶことも大事です。安い3Dプリンターを探すのは、予算に制限があるからでしょう。その予算に収まることを考えるのは、決して間違いではありません。
基本的に安い3Dプリンターは、機能性や造形スペースのサイズによって、価格が決まることが多いです。
必要以上の機能を持った3Dプリンターを選んだとしても、その機能を使わなければ意味はありません。
よって、必要最低限の機能や造形スペースを確保することを考えて、コストを抑えるのも良いでしょう。
コスパの良い3Dプリンターおすすめ4選
それでは、高性能で価格が安い、コスパの良い3Dプリンターをご紹介していきます。
FLASHFORGE Adventurer3
コストパフォーマンスの高さで有名なメーカー、FLASHFORGEを代表する3Dプリンターです。約5万円と、手が出しやすい価格設定となっています。
オーソドックスな熱溶解積層方式で、500gのフィラメントを内蔵可能です。
造形サイズは15cm四方と、比較的小さな造形に向いています。そして、約50秒で加熱が完了するため、スピーディな造形が可能です。
また、内蔵カメラによって撮影した映像を、クラウドを使って遠くから確認できるという特徴があります。
さらに、低価格帯でありながら、操作はタッチパネルで直感的に行えます。3Dプリンターに慣れていない人でも、使いやすいでしょう。
造形マテリアル | PLA、ABSなど |
最大造形サイズ | 150×150×150 mm |
積層ピッチ | 0.05mm~0.4mm |
FLASHFORGE Adventurer4
Adventurer3の後継として作られた、FLASHFORGEの3Dプリンターです。
Adventurer3の約2倍の価格ですが、それでも10万円以下の安さを維持しています。
そして、高速加熱や遠隔カメラなど、Adventurer3の基本的な性能を維持しながら、大幅にグレードアップしています。
造形スペースは220×200×250mmで、大型の造形も可能です。内蔵できるフィラメントの上限も1kgになっているため、造形途中のフィラメント切れを起こしにくいです。
液晶パネルも4.3インチにサイズアップしているため、快適な操作を実現できるでしょう。
FLASHFORGE Creator Pro2
約10万円という安さでありながら、デュアルヘッドを搭載している3Dプリンターです。ヘッドがそれぞれ造形を行うため、一度に同じものを2つ作ることができます。
専用ソフトを使えば、左右対称と非対称を選択可能です。
そのため、量産やひとつの製品に使う対称パーツの制作など、色々と活用できます。
また、ヘッドにはそれぞれ異なるフィラメントを取り付けられるため、同じ形で材質の違う2つのモデルや、2色で構成されたモデルも作成可能です。作れるものの幅が広い、コスパが良い3Dプリンターです。
造形マテリアル | ABS、PLA、HIPSなどの溶性サポート樹脂 |
最大造形サイズ | 200×148×150mm |
積層ピッチ | 0.05mm~0.4mm |
Tiertime UP Plus2
価格が20万円弱という安さでありながら、造形の精度に定評がある3Dプリンターです。自動で水平と高さを補正するオートキャリブレーション機能によって、高い精度を実現します。
造形サイズは140×140×130mmと比較的コンパクトですが、小さいものであってもしっかり造形できます。
よって、3Dプリンターを使って、精度が求められる部品などを作りたいという人におすすめです。
また、使いやすさにも定評があり、サポート材も手で簡単に取り外せるという手軽さなので、初心者の人でも使いやすいでしょう。
造形マテリアル | ABS、PLA |
最大造形サイズ | 14×14×13 cm |
積層ピッチ | 0.15〜0.40mm |
安い3Dプリンターでも使える可能性は高い
基本的に3Dプリンターは、価格が高い方が、より高速かつ高精度の造形をしやすいです。
ただ、安い3Dプリンターでも、高価格帯の製品に肩を並べられるものはあります。
予算が限られているのであれば、紹介してきたコスパの良い3Dプリンターの中から選ぶと良いでしょう。