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3Dプリンターで使える材料の特徴と選び方について解説

21世紀における産業革命と呼ばれることもある3Dプリンター。ものづくりの現場だけでなく、医療・建築・食品など、さまざまな業界において用いられるようになりました。

さて、3Dプリンターで立体の造形物を作るには「材料」が必要です。材料の種類は多種多様。選び方1つで、生産できる造形物の種類や出来栄えが大きく変わります。

今回は3Dプリンターの材料に着目しました。材料の特徴や選び方などを見ていきましょう。

立体造形物が作れる!3Dプリンターとは何?

立体造形物が作れる!3Dプリンターとは何?

「3Dプリンターは、「アディティブ・マニュファクチャリング(Additive Manufacturing)」と呼ばれる技術を応用して、3次元データから立体の造形物を形成する装置です。

普段使っている印刷プリンター(2Dプリンター)を想像してみてください。平面の画像データを元に、プリンターはインクを印刷用紙に吹きかけて、画像を作成しますよね。
3Dプリンターでは、インクの代わりにプラスチックなどの材料を使います。スライスされた立体データを元にして、あたかも印刷するかのように、立体の造形物の層を一層ずつ形成。幾層にもそれを重ねていくと、最終的に3次元データが示す立体の造形物が完成します。

従来の技術では作ることが困難であった造形物でも作成できるため、3Dプリンターはさまざまな業界から注目されるようになりました。
例えば、ファッション業界では人間の体にぴったり合う衣服や装飾品が3Dプリンターを用いて作られています。
建築業界では壁・床・柱といった建物の基礎構造自体を3Dプリンターで作り上げる企業が登場しました。
医療業界では、MRIで撮影したデータを元に、人体の内部構造を再現し、手術や研究に役立てています。

主に3種類!3Dプリンターに使う材料はどんなもの?

3Dプリンターの材料(マテリアル)とは、作成する造形物の元となる物質のことです。「素材」「モデル材」「モデル材料」などと呼ばれることもあります。

材料にはさまざまなものが用いられますが、主に使われる材料は「フィラメント」「UV硬化性樹脂(UVレジン)」「パウダー」の3種類に分類されます。

3Dプリンターの主な材料①:フィラメント

「フィラメント」は、FDM(熱溶解積層法)やFFF(フィラメント溶解製法)などの方式の3Dプリンターで使用される材料です。熱で溶かしてノズルから押し出し、積層します。

3Dプリンターの主な材料②:UV硬化性樹脂(UVレジン)

「UV硬化性樹脂」は、SLA・DLP・LCDといった光造形方式を採用している3Dプリンターで用いられる、合成樹脂製です。紫外線をあてることで硬化します。
普段は液状のため、通常はトレイなどに入れて使用します。

3Dプリンターの主な材料③:パウダー

「パウダー」は、焼結させたり融解させることで造形するタイプの3Dプリンターで使用される材料です。レーザーや他のエネルギー源を用いて粉末を焼結あるいは融解させることで造形します。

3Dプリンターで使われる代表的な材料(マテリアル)の紹介

3Dプリンターで用いられている材料のなかから、代表的なものを紹介します。

ABS樹脂

アクリロニトリル(Acrylonitrile)・ブタジエン(Butadiene)・スチレン(Styrene)の3種を、化学的に結合して作り出した熱可塑性(熱を加えることで軟化し、冷やせば再び固まる性質のこと)樹脂です。
通常はフィラメントとして用いられます。
ABS樹脂は汎用性の高さがある素材です。耐熱性および耐寒性を持ち、衝撃や薬品にも強い性質を持っています。
ABS樹脂製の造形物は製作後に着色も可能です。ただし、耐候性(日光や風雨のような天候変化)には強くありません。

PLA樹脂

PLA(ポリ乳酸)樹脂はフィラメントに用いられる熱可塑性樹脂です。石油由来のABS樹脂とは異なり、トウモロコシやサトウキビから生成されるデンプンから作られています。
耐熱性や弾力性に欠ける面はありますが、廃棄処理後は自然分解されやすいという特徴があります。

TPE(ゴム系樹脂)

熱可塑性エラストマーとも呼ばれるゴム系樹脂です。プラスチックに分類され、フィラメントとして用いられます。耐熱性・柔軟性に優れ、造形後はゴムのような性質を持ちます。
造形物には着色することも可能です。匂いがすくなく、厚さを変化させるだけで耐久力が調整できます。
生体に使うパーツや食品加工に用いる道具の生産によく使われています。

アクリル樹脂

アクリル酸やメタクリル酸から作られるUV硬化性樹脂です。硬化後は耐衝撃性と耐候性に優れた、透明度が高いガラスのような素材になります。
液晶パネルのバックライト・計器カバー・乗り物の窓に用いられることが多いです。
また、ガラスよりも光の透過性が高いため、レンズとして用いられることもあります。
しかし、耐熱温度が低く傷が付きやすいといった特徴もあります。

エポキシ樹脂

エポキシ樹脂はエポキシ基を含むUV硬化性樹脂です。非常に高い強度と硬度を持ち、構造材料やコンポジット材料として広く使用されています。
安定性・耐薬品性に優れ、透明度が高いという特徴があります。さらに絶縁性も持つことから電子部品や絶縁材料として利用されている材料です。
ただし、エポキシ樹脂は強度がそれほど高くなく、紫外線による劣化を受けやすいので、屋外での使用にはあまり適していません。

石こう

硫酸カルシウムが主成分のパウダーの材料です。接着剤を塗布しながら積層する粉末接着方式の3Dプリンターで用いられています。
成形時間が短く、コストが安いという特徴があります。
ただし、製作した造形物は耐久性があまり高くありません。そのため、デザインの確認などでよく用いられています。
なお、材質の性質上、造形時には粉塵対策が欠かせません。

金属粉末

銅・チタン・クロムモリブデン鋼・鉄といった素材が作られた金属粉が、3Dプリンターのパウダー材料として用いられることもあります。
レーザーや電子ビームを照射することで、金属粉末を溶融させて層を作成します。
金属製品ならではの強度・耐熱性・熱伝導性を持った造形物の製作が可能です。

3Dプリンターの材料を選ぶ際の4つのポイント

3Dプリンターの材料を選ぶ際の4つのポイント

3Dプリンターをうまく使いこなすには、適切な材料の選択が欠かせません。
ここでは、3Dプリンターの材料を選び方のポイントについて解説します。

  1. 印刷方式に合わせる
  2. 用途に合った材料を選ぶ
  3. 予算を考慮する
  4. 加工性や表面処理のしやすさ

1.印刷方式に合わせる

3Dプリンターはそれぞれ印刷方式が異なり、適切な材料を用いなければ造形物が作れません。

関連記事:3Dプリンターはどんな仕組みでできている?5つの造形方式を解説

例えば、FDM方式の3Dプリンターではフィラメントが用いられます。SLAやDLPといった光造形法を用いた3DプリンターならUV硬化性樹脂が必要です。

材料を選ぶ際には、必ず3Dプリンターの印刷方式に合わせるようにしてください。

2.用途に合った材料を選ぶ

製作したい造形物の用途によっても材料は異なります。医療関連ならば生体適合性がある材料を選ぶ必要が、食品関連ならば食品安全性を脅かさない材料を選ぶ必要があります。
目的に応じて材料を変えるようにしてください。

3.予算を考慮する

プリンター材料の価格は種類によって異なります。
予算内で目的の造形物が作れるように、コストを意識して材料を選ぶようにしてください。

4.加工性や表面処理のしやすさ

3Dプリンターで製作した造形物は、そのままでは層の段差(積層痕)が残っているため、仕上げに表面処理をする必要があります。
また、大きな造形物や複雑な造形物を作る場合には、製作したパーツを加工する必要も生まれるでしょう。
そのため、材料を選ぶ際には加工性や表面処理のしやすさも考慮するようにしてください。

3Dプリンターで使える材料はいくら?おおよその価格を紹介

3Dプリンターの材料の1kgあたりのおおよその価格は次のとおりです。

ABS樹脂 2,000円〜6,000円
PLA樹脂 4000円〜6000円
TPE樹脂(ゴム系樹脂) 5,000円〜7,000円
アクリル樹脂 3,000円〜6,000円
エポキシ樹脂 5,000円前後
石こう 500円〜1,000円
金属粉末 3,000円〜6,000円

もちろん以上の価格は参考価格にすぎません。
仕上がりのカラーや強度、材料に用いられている成分などによっても、その価格は変動します。

3Dプリンターは適切な材料を選ぶことが大切

3Dプリンターはこれまでのものづくりの常識を大きく覆しました。たとえ専門的な技術や知識がない個人であっても、3Dプリンターを使えば、複雑な造形物を手軽に作れます。
ですが、それは適切な材料を選んでこそのこと。必ず3Dプリンターに適合する材料のなかから、目的とする造形物に適した材料を選ぶようにしましょう。

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