製造業界においてもはや仕事に欠かせないツールとなっている3Dプリンター。実は製造業界以外にも広まりを見せているのをご存じですか。さまざまな業界に広まった3Dプリンターは、日々新しい作品を生み出し、作品作りの可能性を広げています。
今回は3Dプリンターを使った作品づくりに焦点を当て、いくつかの有名な作品例を紹介します。
想像したものを再現!3Dプリンターによる作品づくりの魅力とは?
3Dプリンターによる作品作りには、さまざまな魅力があります。
まず、3Dプリンティングは、複雑な形状やデザインであっても造形が可能です。製作が難しいとされていた造形物であっても、3Dプリンターを使えばディテールまで表現可能です。
クリエイターが思い描いたデザインを忠実に再現してくれる技術として、3Dプリンターは優れています。
また、3Dプリンターによる作品作りでは、アイデアを現実の形に変えるプロセスを大幅に簡素化できるのも魅力的です。
さらに、制作した作品は、デジタルデータを変更するだけで、カスタマイズが可能です。個々のニーズに合わせた作品を、一般向けに製作し直して販売することも難しくありません。
このような魅力が知られるようになり、3Dプリンターは製造業界だけでなく個人クリエイターやデザイナーにまで、広く受け入れられるようになりました。
何が作れる?3Dプリンターで作れるもの一覧
3Dプリンターを使えば、さまざまな作品が生み出せます。
例えば、スマートフォン用のケースやスタンドは、3Dプリンターを使った作品作りにおける定番です。
以下に3Dプリンターで作れるものの一覧を紹介します。
- キーホルダー
- フィギュア
- アクセサリー類
- ボードゲームのコマ(将棋やチェスなど)
- ルアー
- 照明器具
- 機械類(ドローンや自動車など)のパーツ
- ペン立て
- 文化財のレプリカ
- 製作中の製品の試作品
- 建築模型、など
以上のほかにも3Dプリンターでさまざまな作品が生み出されています。
3Dプリンターの利用が進むほどに、3Dプリンターで作られるものの種類は増加していくでしょう。
3Dプリンターを使った有名な作品3選
世界中で3Dプリンターを用いた新しい作品が登場しています。
その中から、世間の注目を集めた3作品を作品例として紹介します。
Madre Natura(母なる自然)
「Madre Natura(母なる自然)」は、イタリアにある建築設計事務所「MASK Architects」によって手がけられた、世界で初の3Dプリンターで作ったモジュールハウス製作プロジェクトです。
モジュールハウスとは、あらかじめ工場などで生産・加工された建築部材を現場に持ち込んで組み立てる建築方式です。
このプロジェクトにおいて、3Dプリンターで製作した金属製の外骨格を持つモジュールハウスが、サルデーニャ島のオラニ市に製作されました。
このプロジェクトで作られたモジュールハウスには、有機的なイメージを感じさせる曲線状の外観にくわえ、構造に開放的な空間が与えられました。
これによって、自然の中にありながらも違和感が少ないデザインとなっています。
氷の研究室(展示物:氷河の模型)
デンマークの芸術家Olafur Eliassonは3Dプリンターで作られたアート作品を手がけました。Olafur Eliassonは自然現象をモチーフにした作品を多く手がけてきました。
気候変動など環境問題に強い関心を持ち、たびたび自らの作品を通して社会に自然保護を訴えていました。その一環として、アイスランド南部の海岸で採取された氷河をスキャンし、3Dプリンターで氷河の模型を作成。
ほんものの氷河とみまがうばかりの氷河の模型は、個展「ときに川は橋となる」の「氷の研究室」において展示されました。
FORMLESS
FORMLESS(フォームレス)は、マス・カスタマイゼーションをコンセプトに生み出された、靴のヒールです。
マス・カスタマイゼーションとは、顧客それぞれのニーズに対応する柔軟性を維持しつつ、大量生産を実現する経営戦略のことです。
FORMLESSはマス・カスタマイゼーションを実現するために、デザイナーではなくソフトウエアが履く者に適したヒール形状をデザイン。
そのデザインを元に3Dプリンターがヒールの型を作り上げ、ロストワックス製法(鋳造技術)によって形成しました。
力の向きや重量を測定して作られたヒールの形状は、有機的なデザインは複雑で緻密。表面にはデザインも施されているため、3Dプリンターを用いない従来の鋳造技術では、マス・カスタマイゼーションを実現するのは困難でした。
デザイン通りに正確に立体構造を作り上げる3Dプリンターの技術と、アナログな鋳造技術のハイブリッド作品といえるでしょう。
質問の前にまずチェック!5つのよくある質問を紹介
3Dプリンターで作品をつくる際によくある質問を5点ピックアップしました。
よくある質問をチェックしておけば、作品製作におけるトラブルを避けやすくなるでしょう。
3Dプリンターを作ってはダメなものはあるの?
3Dプリンターは何を作っても良いわけではありません。
以下のようなものは、使用せずとも製作するだけで罪に問われます。絶対に作らないようにしてください。
- 銃および銃の部品
- 貨幣
- 特殊解錠用具(ピッキング機器)
日本においても2014年5月に、3Dプリンターを用いた銃器製造によって逮捕者が出ています。
また、次のものは、私用目的で製作することは問題なくとも、公開すると逮捕されるおそれがあります。
- 火薬を含まない爆発物(手りゅう弾や地雷など)
- 公記号偽造に該当するもの(公職に就く者のバッジなど)
- わいせつ物に相当するもの
なお、他者のものを勝手に製造した場合にも罪に問われる可能性があります。そのため、他者の鍵や印鑑などは、許可なく3Dプリンターで複製してはいけません。
3Dプリンターでものを作るのに専門知識は必要?
マニュアルに書かれた操作を理解していれば、専門知識がなくとも3Dプリンターは使えます。
ですが、クオリティの高いオリジナル作品を生み出すには、作りたい物品の分野における知識が必要となるでしょう。
また、3Dデータを生み出すための3DCADの知識があれば、より高クオリティの作品が作りやすくなります。
3Dプリンターでものを作るにはどの程度の時間が必要?
3Dプリンターは樹脂などの材料を積層して造形します。そのため、造形物の構造の複雑さよりも、造形物の高さが仕上がり時間に影響を与えます。
積層する時間は3Dプリンターの性能によっても異なりますが、通常は1cmにつき1時間ほどかかると考えてよいでしょう。
なお、3Dプリンターの造形速度を上げ過ぎると造形精度が下がります。造形物を作る際には、速度と精度のバランスに注意しましょう。
3Dプリンターはどの程度のサイズまで対応可能?
作れる造形物のサイズは3Dプリンターの大きさや性能で異なります。家庭用3Dプリンターの場合における造形物のサイズは、縦・横・幅がそれぞれ100mmから150mmまでが一般的です。
もし、大きなサイズの造形物を作りたい場合には、一気に造形せずに、パーツに分解するとよいでしょう。パーツごとに3Dプリンターで製作し、後で組立てたなら、大きなサイズの造形物でも製作可能です。
材料は好きなものが使えるの?
家庭用3Dプリンターでは機種ごとに使える材料の種類が決まっています。必ず3Dプリンターが対応している材料を用いるようにしてください。
また、対応している材料であっても、規格が異なるとノズル詰まりなどのトラブルを起こす場合があります。そのため、純正品の材料を使うことをおすすめします。
おすすめの3Dプリンター「Adventurer3」を紹介
「Adventurer3(アドベンチャー3)」はお手頃価格が魅力的な、家庭用にぴったりの3Dプリンターです。
造形マテリアル | PLA、ABSなど |
最大造形サイズ | 150×150×150 mm |
積層ピッチ | 0.05mm~0.4mm |
Adventurer3(アドベンチャー3)の3つの特徴!
1つ目は「価格が安いこと」です。2023年の時点における本体価格は、税込49,500円。月々4,125円の出費で3Dプリンターが購入できます。
2つ目は、遠隔カメラ・フィラメント検知機能・キャリブレーション不要といった便利機能がめじろ押しなことです。
3つ目はプリントサイズが大きいことです。Adventurer3は、150(幅)×150(奥行)×150(高さ)mmのサイズで造形物製作を実現。大きなサイズの造形物でも気軽に製作可能ですよ。
これから3Dプリンターを使った作品づくりにチャレンジしたい方は、Adventurer3を購入してはいかがでしょうか。
アイデアを具体的な形にする!3Dプリンター作品で世界を驚かせよう
3Dプリンターを利用しているのはもはや製造業界だけではありません。
アイデアを具体的な形にしてくれる魅力的なツールとして、さまざまな人が3Dプリンターを求めるようになりました。
それとともに、今回紹介した3作品を超える驚きの作品も、次々と生まれています。
もし想像力を持て余しているなら、3Dプリンターを使ってぜひ作品にしてみてください。世界を驚かせる結果を生み出せるかもしれませんよ。