「3Dプリンターを使いたいけれど、どの材質や素材を選べば良いのか分からない」という悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。
3Dプリンターで使用する素材には様々な材質があり、それぞれ特徴や強みが異なります。強度が高い素材や、柔軟性に優れた素材、精密な造形が可能な素材など、用途に応じた選択が重要です。
そこで本記事では、代表的な3Dプリンター用の材質とその特徴について、分かりやすく紹介。材質ごとの特徴や価格、適正がある機種も紹介していますので、最後までご覧ください。
3Dプリンターで使用する素材の材質・特徴
3Dプリンターで使用する素材の材質は数多くあります。本記事で全てを紹介することはできないため、主に使用される材質について紹介します。
素材の種類 | 材質名 | 価格(1kgあたり) | 特徴 | 対応機種 |
樹脂系素材 | PLA | 2,000円~4,000円 |
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樹脂系素材 | ABS | 2,000円~6,000円 |
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樹脂系素材 | ASA | 6,000円〜10,000円 |
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エラストマー系素材 | TPU | 7,000円〜 |
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エラストマー系素材 | TPE | 7,000円〜 |
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金属系素材 | ステンレス | 1,000円〜 |
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金属系素材 | チタン | 10,000円〜 |
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複合素材 | カーボンファイバー | 10,000円~ |
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Raise3Dシリーズについて詳しく知りたい方は以下の記事を参照ください。
樹脂系素材
樹脂系素材で主に使用される素材は下記3つです。
材質名 | 特徴 | 対応機種 |
PLA |
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ABS |
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ASA |
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それぞれの材質・素材の特徴など見ていきましょう。
PLA
PLAは植物由来の原料から作られる環境に優しい素材で、低温での成形が可能。反りやひび割れが少ないことが特徴です。
初心者にも扱いやすく、細部まで精密に造形できますが、耐熱性と耐衝撃性が低いため、長期間の使用や高温環境には不向きです。
ABS
ABS樹脂は強度と耐熱性に優れており、プロトタイプや製品ケースなどによく使用される素材です。
特に耐衝撃性が高いため、物理的負荷のかかる製品や部品に適していると言えるでしょう。しかし、熱収縮しやすく反りが発生しやすい点がデメリットで、使用時には密閉型の3Dプリンターや換気が必要です。
ASA
ASAはABSに似た強度と耐候性を持ち、屋外用途にも適した樹脂です。紫外線や雨などに対して耐久性が高く、色あせしにくいため、屋外看板や車部品などに使われます。
しかし、材料コストが比較的高く、成形時にはABS同様の換気対策が必要です。
エラストマー系素材
エラストマー系素材で主に使用される素材は下記2つです。
材質名 | 特徴 | 対応機種 |
TPU |
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TPE |
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それぞれの特徴など解説していきます。
TPU
TPU(熱可塑性ポリウレタン)は柔軟性と耐久性に優れ、ゴムのような弾力があるため、衝撃吸収性が求められる製品や柔軟な製品に適しています。特に耐摩耗性も高く、スマホケースやシューズなどで使用されることが多いです。
ただし、印刷速度が遅く、プリンター設定が難しい場合があり、ノズル詰まりを起こしやすい点がデメリットです。
TPE
TPE(熱可塑性エラストマー)は柔軟でゴムのような質感を持ち、TPUよりもさらに伸縮性に優れている素材です。滑り止めやクッション性が必要な製品に向いており、玩具やスポーツ用品に多く用いられます。
しかし、強度や耐久性はTPUに劣り、造形時には温度管理が必要となるため、用途が限られます。
以下の記事では、ゴムフィラメントの特徴について詳しく解説していますので併せてご覧ください。
金属系素材
金属系素材で主に使用される素材は下記2つです。
材質名 | 特徴 | 対応機種 |
ステンレス |
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チタン |
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それぞれどのような特徴があるかチェックしていきましょう。
ステンレス
ステンレスは耐食性・耐久性が高くサビに強いため、医療機器、工業用部品に適しています。また、3Dプリンターでの加工により複雑な形状の造形も可能で、耐久性が求められる製品で活用されています。
一方で、重量があるため造形時には高温が必要となり、エネルギーコストや専用の設備が必要です。
チタン
チタンは軽量でありながら高い強度と耐腐食性を持ち、航空宇宙や医療分野で重宝される素材です。また、人体へ使用することもできるため、インプラントなどにも利用されています。
しかし、材料費が高価で加工も難易度が高いため、コストがかかります。造形できる3Dプリンターも限られている点がデメリットです。
複合素材
複合素材でよく使用されるのはカーボンファイバーになります。
材質名 | 特徴 | 対応機種 |
カーボンファイバー |
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続けて特徴など解説していきます。
カーボンファイバー
カーボンファイバーは、高い強度と軽量性を兼ね備えた素材で、自動車、航空宇宙、スポーツ用品など幅広く利用されています。従来の金属に比べて軽量で、剛性も高いため、耐衝撃性や耐疲労性が求められる部品に最適です。
しかし、コストが高く加工や成形が難しいため、専用の3Dプリンターや造形には技術が必要です。また、積層間の強度が低く、割れやすい点がデメリットです。
各素材の材質における特徴や対応できる機種を紹介しましたが、3Dプリンター専門ショップ「Fabmart」で販売している機種もあるため、購入を検討している方はぜひ利用してみてください。
3Dプリンターで使用する材質選びのポイント
3Dプリンターで使用する材質を選ぶ際は以下のポイントを留意しましょう。
- 材質の特徴を理解する
- 3Dプリンターで使用できるか確認する
- コストが適正か
材質の特徴を理解する
3Dプリンターで使用する材質を選ぶ際は、素材ごとの特徴を理解することが重要です。上記で解説した通り、材質にはABSやPLA、ナイロン、金属、複合素材などがあり、特性や用途は異なります。
例えば、ABSは強度と耐熱性に優れる一方で収縮性があり反りやすく、PLAは扱いやすい反面、耐熱性が低いといった違いがあるため、用途や環境に適したものを選ばなければ理想通りの造形は難しいでしょう。
材質の選択で失敗しないためにも、まずは用途や求める性能に応じた素材の特性を把握してから選ぶようにしましょう。
3Dプリンターで使用できるか確認する
材質ごとに使用できる3Dプリンターは異なり、選んだ材質が自分の3Dプリンターで使用可能かどうか確認しましょう。樹脂素材の中にもPLAやABSのように汎用性が高いものがある一方で、TPUのように特殊な設定やノズルが必要なものも存在します。
例えば、ナイロンやカーボンファイバーなどは高温で造形しないと造形が難しく、特殊な3Dプリンターや耐久性のあるノズルが必要となることが多いです。使用する3Dプリンターの仕様に適合しない材質を選んでしまうと、造形失敗や最悪の場合、機種本体が故障してしまうことも。
材質の性能だけでなく、自分のプリンターの対応可能範囲も確認して選ぶようにしましょう。
コストが適正か
3Dプリンター用の素材には安価なものから高価なものまで様々です。例えば、品質より量を重視したい製品の造形にコストが高い材質を選ぶと予算オーバーになることも。
また、素材によって加工難易度も異なり、失敗が多いと再プリントの手間やコストがかさむこともあるでしょう。製品の完成度とコストのバランスを考え、最適な材質を選ぶことが重要です。
以下の記事では、3Dプリンターの選び方について紹介していますので併せてご覧ください。
3Dプリンターの材質におけるよくある質問
3Dプリンターの材質における質問についてまとめています。
初心者におすすめの3Dプリンター素材は?
初心者はPLAがおすすめです。PLAは低温での造形が可能で、反りや割れが少なく扱いやすい素材です。また、植物由来の素材であるため環境に優しく、3Dプリンターの基本的な操作や設定を学びやすい素材として最適と言えるでしょう。
3Dプリンターはどんな材質でも使用できますか?
3Dプリンターは材質ごとに使用できる機種が異なります。無理に使用すると機種本体が故障したり、造形が上手くいかない可能性があります。
3Dプリンターを購入する前には自分が使用したい材質に対応しているか確認しましょう。
3Dプリンターの材質についてのまとめ
3Dプリンターで使用する材質は、自身が作成したい造形物に応じて異なるため材質選びは重要です。本記事では代表的な材質の特徴や適正機種を解説しましたが、各材質には異なる強みやコストがあります。
目的に合った材質を選ぶことで、より高品質な造形が可能となります。本記事を参考に3Dプリンターの材質の価格や特徴を理解して、適切なものを選んでみてください。
また、3Dプリンターの購入を検討している方は3Dプリンター専門ショップ「Fabmart」がおすすめです。3Dプリンター本体だけでなく、材料やサポート材など造形に必要なものを販売していますので、ぜひご覧ください。