3Dプリンターで何が作れるか、ワクワクしますよね?「あのアイデア、形にできたら…」そう思ったことはありませんか?しかし、実際にどんなものが作れるのか、どんなプリンターを選べばいいのか、わからないことも多いでしょう。
本記事では、3Dプリンターの可能性から、作れないもの、選び方までを徹底解説します。あなたの「作りたい!」を現実に変えるヒントを紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
3Dプリンターとは?
3Dプリンターは、デジタルで設計された3次元データを基に、素材を一層ずつ積み重ねて立体物を作成する装置です。この技術は「積層造形法」や「アディティブ・マニュファクチャリング(付加製造)」とも呼ばれます。
造形方式には、熱で溶かした樹脂を積み重ねる「熱溶解積層方式(FDM)」や、液状の樹脂を紫外線で硬化させる「光造形方式(SLA)」などがあり、用途や目的に応じて使い分けられます。
なお、3Dプリンターの仕組みについて以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
3Dプリンターで何が作れる?具体的な作例一覧
3Dプリンターは、多彩なアイテムの製作に活用されています。以下に具体的な作例を紹介します。
- フィギュアや模型
- アクセサリー
- キーホルダー
- スマホケース
- ルアー
- ホルダー
- マグネット
- 照明器具
- 医療用模型
- 工業部品
- 建築模型
- 鉄道模型
- プロトタイプの製作
フィギュアや模型
3Dプリンターを使用すると、キャラクターのフィギュアや建築模型、鉄道模型など、精密で複雑な造形物を作成できます。自作のデザインやオンラインで入手可能な3Dデータを活用し、オリジナルの模型を製作することが可能です。
これにより、デザイナーだけでなく個人の趣味でも独自の作品を手軽に作成できるようになりました。また、プロトタイピングやデザイン検証にも利用され、製品開発の初期段階でのモデル作成に役立っています。
アクセサリー
指輪やネックレス、イヤリングなどのアクセサリーも、3Dプリンターで製作可能です。3Dプリンターでは複雑なデザインや細部の表現が容易であり、個々の好みに合わせたカスタマイズが可能です。
これにより、オリジナリティあふれるジュエリーやファッションアイテムを作成できます。また、デジタルデータを基に製作するため、同じデザインの複製やサイズ調整も簡単に行えます。
キーホルダー
オリジナルデザインのキーホルダーを3Dプリンターで作成できます。好きなキャラクターやロゴ、名前などを立体化し、世界で一つだけのアイテムを手に入れることが可能です。素材や色も選択できるため、個性的でユニークなキーホルダーを製作できます。
また、プレゼントやイベントのノベルティとしても活用でき、少量生産にも適しています。デザインソフトを使って簡単にモデルを作成できるため、初心者でも手軽にオリジナルグッズの製作を楽しめるでしょう。
スマホケース
自分好みのデザインや機能を持つスマホケースを3Dプリンターで製作できます。立体的な装飾や独自の形状を取り入れることで、市販品にはない個性的なケースが作れます。
また、特定の機能を追加したり、手にフィットする形状にカスタマイズすることも可能です。素材の選択肢も多く、柔軟性のある素材や硬質な素材など、用途に応じて選べます。
ルアー
釣り愛好家向けに、オリジナルのルアーを3Dプリンターで作成できます。サイズや形状、カラーを自由に設計できるため、釣果向上に役立つアイテムを自作できます。
魚の種類や釣り場の状況に合わせてカスタマイズできるルアーは、釣りのニーズに応じてさまざまな形状や浮力を持つものを製作可能です。さらに、試作を繰り返すことで最適なパフォーマンスを発揮するデザインを見つけられるのではないでしょうか。
ホルダー
文房具や工具、キッチン用品などの収納ホルダーを3Dプリンターで製作できます。必要なサイズや形状に合わせて設計できるため、自宅や職場の整理整頓に役立つでしょう。
たとえば、デスク周りの小物をすっきりと収納するためのホルダーや、キッチンで調味料を整理するラックなど、用途に応じたアイテムをカスタマイズできます。また、破損した既製品の代替品や特定のニッチなニーズに応えるホルダーも簡単に作成可能です。
マグネット
冷蔵庫やホワイトボード用のオリジナルマグネットなども3Dプリンターで製作できます。立体的なデザインやカラフルな装飾を施すことで、実用性とデザイン性を兼ね備えたアイテムを作ることができます。
また、会社や学校のロゴ入りマグネットをイベント用グッズとして作成したり、記念品やギフトとして活用することも可能です。素材の選択肢が多いため、耐久性や見た目にこだわった製品を作れるのも魅力でしょう。
照明器具
ランプシェードやデスクライトなどのオリジナル照明器具を3Dプリンターで製作できます。独自のデザインやパターンを取り入れることで、部屋の雰囲気を一新するオリジナル照明を作れます。
光を通す部分や遮る部分をデザインに取り入れることで、ユニークな光と影の演出が可能になります。また、エコ素材を使用したり、サイズを調整することで、環境に優しい製品を作成することも可能です。
医療用模型
臓器模型や人体模型など、医療教育や手術のシミュレーションに使用される模型も、3Dプリンターで製作可能です。高精度な造形により、実物に近いモデルを作成でき、医療従事者のトレーニングや患者への説明に役立ちます。
また、患者個々のCTやMRIデータを基にしたカスタムモデルの作成も可能で、手術計画の精度向上やリハビリテーションにも活用できるでしょう
工業部品
自動車の部品や工具、建設資材などの工業分野でも3Dプリンターは活躍しています。試作品の作成やカスタムパーツの製造に利用され、製品開発のスピードアップやコスト削減が期待できます。
特に、複雑な形状や軽量化が求められる部品の製作に適しており、従来の製造方法では難しかったデザインを実現できるでしょう。
建築模型
建築模型の製作では、3Dプリンターの導入により、従来の手作業では難しかった複雑なデザインや曲線を正確に再現することが可能となりました。
これにより、設計者の意図を忠実に表現したモデルを短時間で作成でき、クライアントへのプレゼンテーションやデザインを検討する際に役立ちます。また、異なる素材や色を組み合わせることで、建物の質感や仕上げをリアルに表現することも可能です。
鉄道模型
鉄道模型の分野では、3Dプリンターを使用して、オリジナルの車両や情景パーツを自作する愛好家が増えています。これにより、市販品では手に入らない独自のデザインやスケールのモデルを作成することが可能となり、コレクションの幅を広げられるでしょう。
また、破損したパーツの修復や、絶版となったモデルの再現も可能となり、鉄道模型趣味の楽しみ方がさらに広がっています。親子での模型製作や教育の場でも活用され、ものづくりの楽しさを共有するツールとしても注目されています。
プロトタイプの制作
製品開発におけるプロトタイプの制作では、3Dプリンターの活用が急速に広がっています。従来の製造方法では時間とコストがかかる試作品の製作も、3Dプリンターを使用することで短期間かつ低コストで実現可能です。
これにより、デザインの検証や機能のテストを迅速に行うことができ、製品開発のサイクルを加速できます。また、設計の段階で発見された問題点を即座に修正し、再度プロトタイプを作成するという反復的なプロセスも容易に行えます。
3Dプリンターで作れないものは何?
極めて複雑な内部構造を持つ製品や精密さが求められる微細な部品は、3Dプリンターの解像度や精度の限界により、正確に再現することが難しいことがあります。
また、完全な透明度が必要な製品、たとえば高品質な光学レンズなどは、3Dプリンターで使用される素材や造形プロセスの特性上、完全な透明性を再現することが難しい場合があります。
さらに、極薄で高い耐久性が求められる製品や薄膜状の部品、高強度が必要な構造物は、3Dプリンターの積層造形方式の特性上、強度や耐久性の面で制約を受けることがあります。
3Dプリンターの種類と選び方
3Dプリンターにはさまざまな造形方式があり、それぞれに特徴と適した用途があります。以下に主な造形方式とその特徴を紹介します。
作りたいもの | おすすめ造形方式 | 主な使用材料 | 理由 |
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フィギュア・模型 | 光造形方式 (SLA/DLP) | 紫外線硬化性樹脂(レジン) |
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アクセサリー | 光造形方式 (SLA/DLP) | 紫外線硬化性樹脂(レジン)・鋳造用レジン |
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日用品(スマホケースなど) | 熱溶解積層方式 (FDM) | ABS・PLA・TPUなど |
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医療用模型 | 光造形方式 (SLA/DLP) | 紫外線硬化性樹脂(レジン)・生体適合性レジン |
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工業部品(試作) | 熱溶解積層方式 (FDM) | ABS・PLA・ナイロン・ポリカーボネートなど |
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工業部品(小ロット生産) | 選択的レーザー焼結方式 (SLS) | ナイロン・ポリアミドなど |
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キーホルダー | 熱溶解積層方式 (FDM) | PLA・ABS |
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スマホケース | 熱溶解積層方式 (FDM) | TPU・PLA |
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ルアー | 熱溶解積層方式 (FDM) | ABS・PLA |
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ホルダー | 熱溶解積層方式 (FDM) | ABS・PLA |
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マグネット | 熱溶解積層方式 (FDM) | PLA・ABS |
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照明器具 | 光造形方式 (SLA/DLP) | 紫外線硬化性樹脂(レジン)・耐熱性レジン |
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3Dプリンターの種類(造形方式)
3Dプリンターの造形方式は、使用する材料や造形プロセスにより分類されます。代表的な方式として、以下の5つがあります。
熱溶解積層方式(FDM)
熱溶解積層方式(FDM)は、フィラメント状の熱可塑性樹脂を加熱し、溶融状態でノズルから押し出して一層ずつ積み重ねることで造形します。この方式は、比較的低コストで運用でき、ABSやPLAなど多様な材料に対応しています。
造形精度は中程度で、試作や教育用途に適していますが、層と層の間に段差が生じやすく、表面の滑らかさに欠けることがあります。また、サポート材の除去が必要な場合もあり、複雑な形状の造形には工夫が求められます。
光造形方式(SLA/DLP)
光造形方式には、ステレオリソグラフィー(SLA)とデジタルライトプロセッシング(DLP)の2種類があります。これらの方式では、液体の光硬化性樹脂に紫外線やレーザーを照射し、選択的に硬化させて一層ずつ積層します。
高い造形精度と滑らかな表面仕上げが特徴で、精密なモデルやジュエリーの製作に適しています。ただし、使用する樹脂の種類が限られ、材料費が高くなる傾向があります。また、造形後の洗浄や二次硬化などの後処理が必要で、取り扱いには注意が必要です。
選択的レーザー焼結方式(SLS)
選択的レーザー焼結方式(SLS)は、粉末状の材料(主にナイロンやポリアミド)を薄く敷き詰め、レーザーで選択的に焼結(溶融・固化)させて一層ずつ造形します。サポート材が不要で、複雑な形状や機能的な部品の造形に適しています。
高い強度と耐久性を持つ部品を製作できるため、エンジニアリング用途や最終製品の製造にも利用されます。しかし、装置や材料のコストが高く、運用には専門的な知識が求められます。
粉末床溶融結合法(PBF)
粉末床溶融結合法(PBF)は、金属粉末を薄層で敷き詰め、レーザーや電子ビームで選択的に溶融・凝固させて一層ずつ積層する方式です。高密度で強度の高い金属部品を製作でき、航空宇宙や医療、工業分野での部品製造に適しています。
複雑な内部構造や一体成形が可能で、従来の加工方法では難しいデザインの実現が可能です。一方で、装置や材料のコストが非常に高く、運用には高度な技術と安全管理が必要です。
指向性エネルギー堆積方式(DED)
指向性エネルギー堆積方式(DED)は、金属粉末やワイヤーをノズルから供給し、同時にレーザーや電子ビームで溶融しながら積層する方式です。大型部品の製作や既存部品の修復に適しており、材料の変更や複数材料の同時使用も可能です。
造形速度が速く、大型構造物の製造に向いていますが、細部の精密さや表面仕上げの品質は他の方式に劣ることがあります。また、装置のサイズが大きく、設置や運用に広いスペースと専門的な知識が必要です。
用途別の選び方
次に、用途に合わせた3Dプリンターの選び方を解説します。3Dプリンターで作りたいものや、使用環境によって適した機種は異なります。
プロトタイピング向け
製品開発の初期段階で試作品を作成するプロトタイピングには、精度とスピードが求められます。光造形方式(SLA/DLP)は高精度な造形が可能で、複雑なデザインの試作に適しています。
一方、熱溶解積層方式(FDM)は材料費が比較的安価で、大型モデルの試作に向いています。選択的レーザー焼結方式(SLS)は、サポート材が不要で複雑な形状の試作に有効です。
小ロット生産向け
少量生産では、コスト効率と生産速度が重要です。熱溶解積層方式(FDM)は、材料費が低く、運用コストを抑えられるため、小ロット生産に適しています。
また、選択的レーザー焼結方式(SLS)は、サポート材が不要で複数の部品を同時に造形でき、生産効率を高められます。さらに、粉末床溶融結合法(PBF)は、金属部品の小ロット生産に適しており、高強度な製品を必要とする場合に有効です。
教育・研究用途向け
教育現場や研究機関では、安全性と操作性、そして多様な材料への対応力が求められます。熱溶解積層方式(FDM)は、操作が比較的簡単で、材料も多様に選べるため、教育用途に適しています。
光造形方式(SLA/DLP)は、高精度なモデルの作成が可能で、デザインや芸術分野の教育に有効です。研究用途では、特定の材料や高精度な造形が必要な場合が多く、目的に応じて適切な方式を選ぶことが重要です。
医療分野向け
医療分野では、高精度で生体適合性のある材料を使用できるかが求められます。光造形方式(SLA)は、高精度な造形が可能で、歯科模型や手術用ガイドの作成に適しています。
選択的レーザー焼結方式(SLS)は、耐久性のある医療機器部品の製造に利用されます。また、粉末床溶融結合法(PBF)は、チタンなどの生体適合性金属を使用したインプラントの製造に適しています。
医療用途では、使用する材料の生体適合性や滅菌性、そして造形物の精度が重要なため、これらの要素を考慮して選択することが必要です。
建築・デザイン分野向け
建築模型やデザインプロトタイプの作成には、精度と表面仕上げの品質が重要です。光造形方式(SLA/DLP)は、高精度で滑らかな表面を持つモデルの作成に適しており、建築模型やデザインモックアップに最適です。
熱溶解積層方式(FDM)は、大型モデルの作成が可能で、建築分野でのコンセプトモデルに利用されます。また、選択的レーザー焼結方式(SLS)は、複雑な形状や機能的なデザインのプロトタイプ作成に有効です。
なお、3Dプリンターの使い方については、以下の記事で解説しています。
3Dプリンターで何が作れる?まとめ
3Dプリンターは、フィギュアやアクセサリー、日用品から、医療模型や工業部品まで、実に多様なものを作り出せます。あなたのアイデア次第で、可能性は無限大です。
ただし、作れないものや、プリンターの種類・選び方も理解しておく必要があります。この記事で紹介したポイントを踏まえ、目的に合った3Dプリンターを選択することで、創造性を最大限に発揮できるでしょう。