3Dプリンターは造形方式によって使用する素材は異なります。例えば、光造形方式を採用しているプリンターであれば「レジン」を使用します。このように3Dプリンターごとに使用できる素材は異なり、素材によって「強度」「耐久性」「造形精度」など異なります。
なかでも最もポピュラーである熱溶解積層方式では「フィラメント」という素材が使用されており種類も豊富にありますが、「どのフィラメントを使用したらいいの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、フィラメントの概要、種類、おすすめ3Dプリンターフィラメント、選び方など詳しく解説します。
そもそも3Dプリンターのフィラメントとは?
フィラメントとは、細長い糸状のような樹脂素材であり熱溶解積層方式(FDM)で使用される素材です。印刷機のインクとイメージしていただけるとわかりやすいかと思います。FDM方式のプリンターは熱で溶かし、一層ずつ積み重ねていくことで造形物を作成します。
フィラメントには数多くの種類があり「強度」「耐熱性」「耐久性」などが異なります。そのため、造形物にどんな条件を求めるのかで適切なモノを選ぶ必要があります。
また、3Dプリンターごとに使用できるフィラメントも限定されるため、使用できるのかを確認しなければいけません。
フィラメントについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
3Dプリンターのフィラメントの種類
フィラメントには数多くの種類がありますが、ここでは代表的なモノを5つ紹介します。
- PLA
- ABS
- PET/PETG
- 炭素繊維(カーボンファイバー)含有フィラメント
- ナイロン樹脂
PLA
PLA樹脂は植物由来の素材を原料にしているため、環境に優しくフィラメント特有のニオイが少ないのが特徴です。発売されているほとんどの機種はPLA樹脂に対応しており、造形物を冷却した際に収縮・反りが少ない特性を持っています。
ただし、高温に弱く造形した際の耐久性にも優れているとは言えないため扱いには注意が必要です。
ABS
ABS樹脂は一般的なプラスチック素材で使用されているもので、耐久性・強度が高い特徴を持っています。ただし、耐熱性が強い分、出力時には230℃以上の高い温度でなければ十分に溶けないこともあります。
部品。パーツなど動作を行う造形物に適した素材です。
PET/PETG
PETはペットボトルの素材に使用されている素材で、PETGはPETを改良したモノです。PETより衛生面・耐久性に優れており靭性や強度が求められる造形物に適しています。
ペットボトルを見てわかる通り透明性にも優れているため、ランプなどにおすすめです。
炭素繊維(カーボンファイバー)含有フィラメント
炭素繊維(カーボンファイバー)含有フィラメントはPLA・ABSが使用されていますが、近年はカーボンファイバーを配合したフィラメントが人気が高い傾向にあります。
カーボンファイバーは高い強度、剛性、耐久性、耐熱性も高いという特徴があります。軽量で丈夫な造形物ができるため対応する3Dプリンターも増えてきています。
ナイロン
ナイロン樹脂は衣服などの素材として使用されていますが、耐久性、靭性に優れている特徴を持ち合わせています。高機能であるため様々な工業製品にも使用されています。
対応できる3Dプリンターも多く、幅広い用途で使用できるのは魅力の1つです。
3Dプリンターのフィラメントを選ぶおすすめの方法
フィラメントを選ぶ際には下記3つのポイントから紹介します。
- 3Dプリンターに適しているか
- 硬さや強度は十分か
- 色や質感は適しているか
3Dプリンターに適しているか
先述した通り3Dプリンターは全てのフィラメントに対応しているわけではありません。例えば、カーボンファイバーのフィラメントは種類の中でも新しく対応しているプリンターが少ないです。
適していないフィラメントを無理やり使用すれば故障の原因にもなりますので、保有している機種がどの素材に対応しているのかを確認しましょう。
おすすめの3Dプリンターについて詳しく知りたい方は下記記事も併せてご覧ください。
硬さや強度は十分か
造形物を作る際に強度や硬さを重視するのであれば、耐久性・強度に優れたフィラメントを使用しなければいけません。例えば、自動車の部品を作成するのにPLA樹脂素材を使用すると耐久性が弱いため、すぐに壊れます。
硬さや強度が十分であるかはフィラメントを選ぶ上で重要なポイントです。
色や質感は適しているか
フィラメントの中には発色が良いものもあればマットな質感であるものもあります。そのため、フィギィアやプラモデルを作成するには色や質感を重視する必要があります。
特にフィラメントの色は様々なものがあるので造形物によって色、質感は重視すべきポイントです。
おすすめ3Dプリンターフィラメント5選
「種類が多く何を選んだらいいかわからない」という方におすすめのフィラメントを5つ紹介します。
- Raise3D純正プレミアムPLAフィラメント
- UP純正PLAフィラメント(500g)×2巻セット
- Pxmalion ABS 3Dプリンター用フィラメント素材
- TINMORRY PLA フィラメント
- PolyMax PCフィラメント(750g)
Raise3D純正プレミアムPLAフィラメント
Raise3Dシリーズのプリンターで使用できるPLAフィラメントです。耐衝撃性に強く靭性が従来品PLAの10倍という特徴を持っています。造形物の表面が綺麗に仕上がりやすく、反りが発生しにくいのも魅力でおすすめです。
カラーは全部で7種類発売されています。
- 価格:¥7,260(税込)
- カラー種類:白、黒、青、赤、黄、オレンジ、グレー
UP純正PLAフィラメント(500g)×2巻セット
UP純正PLAフィラメントは反りが少ないだけでなく、熱変成が少ないため大きい造形物を作成するのに適しています。植物性の原料が使用されているので独特なニオイも抑えられます。
環境にも優しいエコ素材であるのも魅力でおすすめです。
- 価格:¥9,148(税込)
- カラー種類:白、黒、青、緑、グレー、半透明、ワインレッド、オレンジ(バラ売り不可)
Pxmalion ABS 3Dプリンター用フィラメント素材
Pxmalion ABS 3Dプリンター用フィラメント素材は品質が高いABS素材で、発色が良く光沢感が綺麗であるのが特徴です。
靭性も高く、曲げや伸びに対しても耐性がありおすすめです。
出力がスムーズに行えるため、出力後のお手入れも手間がかかりません。
- 価格:¥2,710(税込)
- カラー種類:白、クリア、ブラック
TINMORRY PLA フィラメント
TINMORRY PLA フィラメントは多彩なカラーがあり、20種類以上となっています。日常的な使用からアートや工芸品への使用、非光沢や艶消しを求める方など用途が幅広いフィラメントです。
環境に優しい素材を使用しており、有害なガスの発生もしないため屋内での使用も可能なところがおすすめです。
- 価格:¥2,599(税込)
- カラー種類:ホワイト、クリア、ブラック、シルクシルバーなど
PolyMax PCフィラメント(750g)
PolyMax PCフィラメントは価格と品質のバランスが取れた「Polymaker社」が発売しているフィラメントで、上質な仕上がりと強い耐久性・耐熱性を持っています。
パッケージも綺麗で日本国内でも人気が高くおすすめなフィラメントです。
- 価格:¥8,712(税込)
- カラー種類:ホワイト、ブラック
3Dプリンターフィラメントのおすすめ保管方法
フィラメントは熱や衝撃に弱いものもあるため適切な保管が必要です。おすすめの保管方法について以下2点を紹介します。
- 高温・多湿は避ける
- 素材ごとに分けて保管する
高温・多湿は避ける
熱に弱いフィラメントでもあれば形状が変化することもあり、湿気が多ければ水分を含み造形物の精度に影響が出る場合があります。フィラメントを保管する際は、袋などに保管し密閉、除湿剤などを入れて保管することをおすすめします。
また、すでに形状が変化してしまっているものなどを使用すると3Dプリンターが故障する可能性もあるため注意しましょう。
素材ごとに分けて保管する
複数のフィラメントを扱うと素材が混同してしまうことがあり、3Dプリンターで使用する際に間違えて素材を使用することもあります。結果、手入れが大変になることもあります。
フィラメントを素材ごとに保管しておけば間違えてしまうするリスクを回避できます。
3Dプリンターのフィラメントについてよくある質問
ここでは3Dプリンターのフィラメントに関するよくある質問をまとめています。
フィラメントは純正でなくても大丈夫?
3Dプリンターのフィラメントは純正でなくても使用できる3Dプリンターは多くあります。しかし、純正を使用した方が機械の消耗やメンテナンスにコストがかからないので純正がおすすめです。
また、3Dプリンターの中には純正でなければ使用できない機種もあります。使用する前には必ず説明書を読んでおきましょう。
フィラメントの臭いは有害?
3Dプリンターのフィラメントは熱を与えることで特有のニオイが出ます。特にナイロンやカーボンファイバーはニオイが強い傾向にあり、人体に少なからず害があるモノもあります。
そのため、換気を十分に行い3Dプリンターを使用しましょう。また、ニオイや煙が発生した場合には吸い込まずに窓を開けるなど対策を行ってください。
おすすめのフィラメントを3Dプリンターで使おう
本記事では3Dプリンターのフィラメントの概要、選び方、おすすめ商品について紹介しました。フィラメントは3Dプリンターのよって適切なモノがあるため、適したモノを使用する必要があります。
また、フィラメントを取り扱うときは換気や直射日光、湿気に十分注意することをおすすめします。
3Dプリンターのフィラメントの購入は3Dプリンター専門ショップ「Fabmart(ファブマート)」がおすすめです。下記リンクから購入できますのでぜひご覧ください。