3Dプリンターを使用して造形をするには「3Dデータ」が必須になります。しかし、3Dデータの作成は初心者にとって簡単ではありません。
そこで利用したのが、Web上でアップロードされているデータをダウンロードし使用することです。自身で3Dデータを作れなくても既に完成されているデータであれば、すぐに造形ができます。
また、近年Web上にアップロードされている3Dデータは無料かつクオリティーが高いため、様々な造形物が作成できるのも魅力です。
本記事では、「3Dデータを作成できない」「3Dデータ作成に手間をかけたくない」という方を対象に、3Dデータを無料でダウンロードできるサイトやダウンロードする際の注意点など詳しく解説します。
3Dプリンター用データを準備する方法
3Dプリンター用データを準備する方法は主に以下の4つです。
- 3DCADソフトを使用してモデリングする
- 3DCGツールでデータを作成
- 3Dスキャナーを使用して実物をデータ化
- 3Dデータ共有サイトからダウンロード
3DCADソフトを使用してモデリングする
3DCADソフトとは、コンピューター上で3Dデータを作成するためのソフトウェアです。建築業界や製造業で使用されることが多く、正確な寸法や形状で3Dモデルの作成が可能です。
たとえば、3Dプリンターで小物入れを作る際は、幅や高さ、奥行きを入力すれば寸法に合わせた小物入れの作成が可能になります。また、造形物の内部を空洞にしたり、穴をあけるなど、複雑な形状の作成も可能なのが3DCADを使用するメリットです。
しかし、3Dデータを作成するには3DCADソフトを扱う技術が必要になり、独学で勉強すれば基礎スキルを身につけるだけで時間がかかることもあります。
短期間で業務レベルまで3DCADソフトの操作スキルを身に付けたいという方は「Fusion 360 3DCAD入門セミナー」の受講がおすすめです。
3DCGツールでデータを作成
3DCADソフトに比べて、より自由な形状が作成できるのが3DCGツールです。主にゲームやアニメーションで使用されており、フィギュアなどの作成に向いています。
複雑な曲線や動きをつけたりすることも可能ですので、リアルな3Dデータの作成が可能です。ただし、正確な寸法を表現しづらく、正確さを必要とする造形物の作成には不向きでしょう。
フリーの3DCGソフトでおすすめするのが「Blender」です。無料で使用でき、ソフトは日本語にも対応しています。
しかし、3DCGツールも3DCADソフト同様に初心者が扱うにはハードルが高いソフトです。
そのため、短期間で操作スキルを身につけるのであれば「Blender基礎セミナー」がおすすめです。
3Dスキャナーを使用して実物をデータ化
手元に造形したいものがある場合は、3Dスキャナーを使用してデータ化が可能です。物体の形状を読み取るだけで、形状を正確に再現できます。ただし、正確な寸法を表現できないデメリットもあるため、注意が必要です。
ここからはおすすめのスキャナーを2つ紹介します。
- EinScan SE
- EinScan H
EinScan SE
EinScan SEは世界初の白色光LEDを光源としているデスクトップ3Dスキャナーです。ハンディースキャナーと異なり、ターンテーブルに造形物を置いて、スキャンを行います。
発売されているスキャナーの中では低価格・高精度と初めてスキャナーを使用する方にもおすすめです。
- 価格:¥196,900(税込)
EinScan H
EinScan HはEinScanシリーズを超える「高精度」かつ大型の造形物もスキャン可能なハンディタイプのスキャナーです。「EinScan SE」に比べると値段は高くなるものの、手軽に素早くフルカラーの高品質な3Dデータを作成できます。
- 価格:¥943,800(税込)
3Dスキャナーの使用方法について詳しく知りたいという方は以下の記事も併せてご覧ください。
3Dデータ共有サイトからダウンロード
3Dデータ共有サイトからのダウンロードは「データの作成ができない」という方におすすめです。多くのサイトで無料・有料の高品質な3Dデータがダウンロードできます。
近年では、無料のデータでもクオリティが高いため造形だけを楽しみたいという方はデータ共有サイトからのダウンロードがおすすめです。
3Dデータを作成する方法は以下の記事でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
3Dプリンター用データを無料でダウンロードできるサイト7選
3Dプリンター用データを無料でダウンロードできるおすすめのサイトは以下の7つです。
- Thingiverse
- Printables
- cgtrader
- Cults
- MyMiniFactory
- YouMagine
- 3d CAD DATA
サイト①Thingiverse
引用:Thingiverse
Thingiverseは250万以上の豊富なデータが登録されており、無料で3Dデータがダウンロードできます。3Dデータ共有サイトの中でも大規模かつ安全性が高いサイトです。
初心者から上級者まで幅広く使用できますが、日本語には対応していません。また、個人的・非商用目的でのみの利用となっており、ダウンロードした3Dデータで造形した作品を販売することは禁止されています。
サイト②Printables
引用:Printables
Printablesは、チェコに本拠地を置く個人向け3Dプリンターメーカーのプルサ社が運営する3Dデータ共有サイトです。Thingiverseほど登録されているデータは多くないものの、日用品やアクセサリー、ガジェットなど様々な種類のデータが登録されています。
運営するのは海外企業ですがサイトのデザインもシンプルであるため、直感的な操作が可能です。
サイト③cgtrader
引用:cgtrader
cgtraderは、140万点以上の豊富な3Dデータが登録されており、利用ユーザー数も900万人を超えています。検索機能が充実しており、カテゴリやファイル形式など指定が可能です。
自分は求める3Dデータが見つからない時は、3Dデータを作成する個人事業主に依頼することも可能です。
サイト④Cults
引用:Cults
Cultsは2014年にサービスがスタートしたサイトで、近年は人気急上昇中のサイトです。3Dデータを作成するデザイナーと繋がる事もでき、登録されている3Dデータは52万点以上です。
他のサイトと比較すると有料のデザインが多いものの、無料データも豊富になります。
サイト⑤MyMiniFactory
MyMiniFactoryは、ゲームやアニメキャラクターのデータが多く、ユーザーがデータを使用して実際に3Dプリントした写真を投稿する機能があるため、3Dプリント後の造形物を想像しやすいのも魅力です。
日本語には対応していないサイトですが、無料データも多くアニメ好きにおすすめのサイトです。
サイト⑥YouMagine
引用:YouMagine
YouMagineは、3Dプリンターメーカーの「Ultimaker」が運営するサイトで、車系の3Dデータを中心に様々なデータが登録されています。有料・無料データどちらもありますが、無料版もクオリティ高いデータのダウンロードができます。
サイト⑦3d CAD DATA
引用:3d CAD DATA
日本初の3Dデータ共有サイトです。データ形式はSTLに限定されていますが、全て無料でダウンロード可能です。豊富なカテゴリで、閲覧数・ダウンロード数などのランキング形式でデータを見ることもできます。
データ1つ1つにコメント機能があるため、実際に造形を行った人の声を聞けるのも魅力の1つです。
3Dプリンター用データを無料でダウンロードする際の注意点
3Dプリンター用データを無料でダウンロードする際には、注意しなければいけません。
ここでは下記2つのポイントを解説します。
- サイトの安全性を確認する
- 有料のデータもある
注意点①サイトの安全性を確認する
3Dデータを共有しているサイトは数多くありますが、全てのサイトが安全というわけではありません。中には、使用することでウイルスが侵入したり、情報が漏洩する危険性もあります。
サイトを使用する前は、サイト名を検索し口コミや評判を確認しましょう。検索をかけても情報が少ない場合は注意が必要です。
注意点②有料のデータもある
3Dデータ共有サイトは、全て無料でダウンロードできるわけではありません。クレジットカードの登録などをしてなければ、誤って購入する心配もありませんが、ダウンロードをする前には必ず価格を確認しましょう。
有料データが欲しい場合はサイトの安全性を確認した上で、購入手続きを行いましょう。
欲しいデータが見つからない時は代行会社に依頼するのもおすすめ
3Dデータ共有サイトには、あらゆるデータが登録されているものの自分が求めるデータが見つかるとは限りません。
「自分で3Dデータが作成できない」「自分の欲しいデータが見つからない」という場合は、3Dデータの作成を代行してくれる業者に依頼するのも1つの方法です。
代行会社であれば、自分が求めている条件を提示することで思い通りにデータを作成してもらえます。中には、3Dプリントまで全工程を代行してくれる業者もいるため、用途に合わせて選びましょう。
3Dプリンター用データを無料でダウンロードについてのまとめ
3Dプリンター用データは、3Dデータ共有サイトに登録されているものであればダウンロードできます。無料のデータも多く、近年ではデータのクオリティーが上がっているため、造形品質も向上できるでしょう。
また、データをダウンロードするだけではなくデータを自分で作成できると、より造形の幅は広がります。本記事で紹介した3Dスキャナーや3Dプリンターの購入を検討している方は、3Dプリンター専門ショップ「Fabmart」を利用してみてください。