3Dプリンターでオブジェやフィギュアを作るとき、美しいカラーで装飾したいと思うことはありませんか?
カラフルな造形物は、見た目が一気に華やぎ、リアリティある魅力的な作品に変化します。
この記事では、3Dプリンターでカラー出力する方法を紹介します。
カラー出力できるおすすめ3Dプリンターとカラーフィラメントもあわせてお伝えします。
3Dプリンターとは
3Dプリンターとは、立体モデルを造形する画期的な機械です。
3Dモデル用のデータをもとに、フィラメントと呼ばれる素材を堆積しながら造形していきます。
近年、3Dプリンターは低価格化が進み、家庭用から産業用まで幅広く普及しはじめました。
使用するフィラメントの種類も豊富になり、従来の樹脂やプラスチックに加え、セラミックス、金属、木材、強化繊維、生体適合材料など、さまざまな素材が利用されています。
この多様性は、3Dプリンターの応用範囲を拡大し、製造業をはじめ、医療、教育、アパレル、食品業界などにおいて、多様な製品開発促進に貢献しています。
3Dプリンターが活用されている分野
3Dプリンターはさまざまな業界で活用されています。以下では、主な業界を4つあげてみました。
製造業
製造業では、新製品開発における試作品の製作に3Dプリンターが活用されています。
試作品製作に必要な金型が不要になったため、コスト削減、製作期間短縮を実現しました。
建築
建築分野では、精密な縮小建築模型の制作、特殊な形状の建築物の造形に使われています。
3Dプリンターを使うことで、工期短縮やオリジナルなデザインを実現し、建築物の魅力と可能性を大きく広げています。
アパレル
3Dプリンターはアパレル業界に革新をもたらし、従来の縫製技術では表現が難しかった魅力的なデザインの衣料、シューズ、アクセサリーを生み出しました。裁断不要で製作できるため、生地ロスを減らし、環境にも配慮した製造を実現しています。
医療
医療現場では、オーダーメイドの義肢、義手、インプラントなどの製作に3Dプリンターが使われています。
柔軟性と迅速性に優れた3Dプリンターは、医療機器の製作にも最適です。
医療機器で使われている3Dプリンターの詳細については、以下の記事をご覧ください。
臓器モデル作成など、驚きの活用例が紹介されています。
3Dプリンターでカラー出力する方法
3Dプリンターでカラー出力する方法は主に以下の3つです。それぞれ順番に解説していきましょう。
- カラーフィラメントを使用する
- オブジェクトを染色する
- マルチカラー3Dプリンターを使う
①カラーフィラメントを使用する
3Dプリンターでカラー出力するには、熱溶解積層(FDM)技術とカラーフィラメントを用いる方法が一般的です。
カラーフィラメントは、3Dプリンターで色付き出力できる素材として注目されています。
安価で強度が高く、豊富なカラーバリエーションが魅力です。
グラデーションやマーブル模様など多彩な表現も可能で、設定や操作も簡単で扱いやすいのがメリットです。
しかし、積層痕や表面のざらつき、フィラメント交換の手間といった課題も存在します。
カラーフィラメントは、光造形方式やインクジェット方式の3Dプリンターでは使用できないので、あらかじめ対応機種であるか確認しておきましょう。
②オブジェクトを染色する
3Dプリンターでカラー出力するには、オブジェクト自体を染色する方法があります。
これは、3Dプリンターで造形したオブジェクトに、後から染色する手法です。
オブジェクト染色は、造形物の細かい部分までイメージ通りのカラーが付けられます。
例えば、フィギュアの髪の毛や金属製部品の質感なども染色によるカラーリングで表現可能です。
しかし、3Dプリンティングとは異なり、デザインセンスや塗装技術が求められます。
色選び、ムラなく染めるための調色、筆塗りやエアブラシを使った塗り分けなどが必要です。
また、フィラメントによっては思い通りのカラーが付かないこともあります。
透明感のあるカラーリングをしたい場合はクリア、マットな質感にしたいときはホワイトなどの使い分けが重要です。
③マルチカラー3Dプリンターを使う
マルチカラー3Dプリンターを使ってカラー出力する方法もあります。
近頃は、複数のカラーフィラメントを組み合わせて造形できるマルチカラー3Dプリンターも登場しました。
マルチカラー3Dプリンターを使うと、カラーフィラメントをその都度交換せずにカラーリングできます。
複数のフィラメントを同時に使用するために、複雑な色合い、テクスチャ、グラデーション表現も可能です。
しかし、高機能な分、一般的に単色3Dプリンターよりも高価な製品が多く見られます。
また、複数のフィラメントを同時に扱うため、造形設定やメンテナンスに手間がかかります。
マルチカラー3Dプリンターは、3Dプリンティング中~上級者、高品質な造形を求める方におすすめです。
カラー出力できるおすすめ3Dプリンター4選
それでは、カラー出力できるおすすめ3Dプリンターを4つ紹介しましょう。
ここでは、初心者に最適なカラーフィラメントを使った3Dプリンターを厳選しました。
- FLASHFORGE Adventurer3
- Tiertime UP Plus2
- Tiertime UP BOX+
- Tiertime UP 300
①FLASHFORGE Adventurer3
FLASHFORGE Adventurer3は、独立式デュアルヘッドを搭載したリーズナブルで使いやすい中型3Dプリンターです。
2つのヘッドによるカラフルな造形が可能で、同時に2色の素材を使い分けられます。
ミラーモードやコピーモードなど多彩な印刷パターンに対応し、可溶性サポート材の使用も可能。
コンパクトなサイズでありながら、造形サイズは幅200mmと大きめです。
対応素材は、ABS、PLA、TPUなど幅広く、メタルフレームの頑丈なボディにより造形時の安定感は圧倒的です。
フィラメントクリーニングプレートによる「きれい」な出力は、当製品ならではといえるでしょう。
②Tiertime UP Plus2
Tiertime UP Plus2は、小さなボディと高性能が魅力の3Dプリンターです。
X、Y軸の独立駆動・中空構造による静かで迅速なプリント、簡単操作で高精度な出力を実現するオートキャリブレーション機能を搭載しています。
使いやすい日本語対応のソフトウェアを搭載し、軽量かつコンパクトなので持ち運びも楽々。
6色そろった高性能専用マテリアルによる豊富なカラーバリエーションも魅力です。
専用ABS樹脂を使用することで、耐熱性と強度に優れたアイテムが完成します。
独自のサポート生成方式で、教育現場や初心者の方でもオブジェを素早く簡単に取り外せる3Dプリンターです。
造形マテリアル | ABS、PLA |
最大造形サイズ | 14×14×13 cm |
積層ピッチ | 0.15〜0.40mm |
コンパクトサイズの3Dプリンターでありながら、同クラスの機種の中でも比類のない使いやすさと安定感を実現し、かつ高品質な出力が可能。初心者にもオススメの3Dプリンターです。… 続きを見る
③Tiertime UP BOX+
TiertimeUP BOX+は、自動プラットフォーム調整と積層ピッチ0.1mmで高精細な出力を実現します。
フィラメント切れを検知して自動的に一時停止するので、カラー出力時の造形も安心です。
造形時に気になる臭いをカットする空気フィルター、プリント時間を幻想的に演出するLEDライトも魅力。
サポート材は手で簡単に取り外せ、さらにWi-Fi接続にも対応するため造形中の電源トラブルも安心です。
初心者でも簡単に使えるソフトウェア「UP Studio」が付属しているため、難しい操作を覚える必要はありません。
誰でも簡単に3Dプリントを楽しめる大型造形向けの3Dプリンターです。
④Tiertime UP 300
Tiertime UP 300は、ABS、PLA、TPUなど多彩なフィラメントに対応し、自由自在なカラフルな造形を実現します。
専用ヘッドとガラスビルドプレートにより、安定した高精度な出力を実現。
最大造形サイズ255×205×225mmの大型モデルながら、0.05mmの積層ピッチにより仕上がりは滑らかです。
HEPA・活性炭フィルターで臭いを抑え、手で外せるサポート材で後処理も手間がかかりません。
初心者でも扱いやすいUP Studioソフトを採用し、バリエーション豊かなカラーを楽しめる3Dプリンターです。
造形マテリアル | ABS樹脂・PLA樹脂・TPU その他 |
最大造形サイズ | 255×205×225 mm |
積層ピッチ | 0.05〜0.40mm |
UPシリーズの大型プリンター。素材ごとの専用ノズルを持つことで、様々な樹脂に対応可能。安定した出力により、さらなる高精度へと進化しました。… 続きを見る
近年、3Dプリンターは低価格化と高性能化が進み、魅力的で使いやすい製品が続々登場しています。
以下の記事は、コスパの良い3Dプリンターを紹介しているので、価格を重視したい方はぜひ参考にしてください。
カラー出力できる3Dプリンターに使えるフィラメント
続いて、3Dプリンターのカラー出力に使うフィラメントを紹介しましょう。
オブジェの雰囲気に最も重要なのは、やはりフィラメントです。
しっかり製品を比較検討して納得のカラーリングを行ってください。
- BASF Ultrafuse PETフィラメント
- FLASHFORGE フィラメント PLA
- FLASHFORGE フィラメント ABS
①BASF Ultrafuse PETフィラメント
BASF Ultrafuse PETフィラメントは、耐薬品性、造形安定性、高光沢、硬質性を備えています。
低吸湿性は造形の安定と美しい光沢を実現し、精密部品からインテリアまで幅広い分野で活用されています。
食品グレード認定のPET素材を使用し、カラーバリエーションは6色(クリア・ブラック・パールホワイト・レッド・イエロー・ブルー)です。
②FLASHFORGE フィラメント PLA
FLASHFORGE フィラメント PLAは、悪臭を抑えた農産物由来のエコ素材PLAフィラメントです。
従来のPLAフィラメントと比べて悪臭が少なく、快適なプリント環境を提供。生分解性素材であるため、使用後は最終的に二酸化炭素と水に分解されます。
カラーバリエーションも豊富で、11種類(ナチュラル・シルバー・ホワイト・ライトグレー・レッド・ブル―・イエローなど)のカラーから選べます。
③FLASHFORGE フィラメント ABS
FLASHFORGE フィラメント ABSは粘着性と強度が特徴で、日用品や雑貨、部品などの多様な用途に適しています。
素材は多くの3Dプリンターが採用しているABS樹脂で、サンドペーパーや紙やすりで加工しやすく、塗装もしやすいです。
溶解温度はデフォルト220度。8つのカラー(ホワイト・ブラック・レッド・グリーンなど)から選べます。
3Dプリンターでカラー出力する方法!まとめ
3Dプリンターでカラー出力するためには、カラーフィラメントを使う、もしくは造形物に後から染色するなどの方法がありました。
マルチカラー3Dプリンターを使う方法もありますが、比較的難易度が高く高価な製品が多いため、やはり初心者は上記どちらかの方法がベストでしょう。
本記事で紹介したカラー出力に対応する3Dプリンターは、リーズナブルで使いやすい製品を厳選してみました。
3Dプリンターでカラー出力したい方はぜひ参考にしてください。